出版社内容情報
新興国の台頭は、先進国経済成長のチャンスだ!
本書のシミュレーションでは、2030年までに新興国の名目GDPは先進国の約2倍になると予測される。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に4カ国(メキシコ、インドネシア、トルコ、タイ)を加えた9カ国(E9)が台頭し、G7と肩を並べる世界経済のニューリーダーになりつつある。これらの新興国の台頭は、先進国の衰退を意味するのではなく、先進国の経済の成長加速と再活性化の大きなチャンスとなり得るのだ!
第1章 激変する世界経済の勢力図
1 新興大国経済の規模が先進大国を超す日が近い
2030年までのトレンド
新興・途上国が大半を占める世界経済の誕生
新興大国の時代
E9とG7
2030年にE9の経済はG7の倍となる
実質GDPの試算結果
E9とG7のインフレ
名目GDPの試算結果
新興大国の台頭は先進大国の衰退を意味しない
2 世界のモノづくり-中国が首位でない製品は例外
世界製造業の分布
生産
輸出
米欧と日本は脱工業化か?
生産と輸出の勢力図は業種によって異なる
繊維とアパレル-「中国・プラス・アルファ」の構図
電子機器-中国は断トツ首位
一般機械と自動車-生産は新興大国、輸出は先進国がリード
素材-先進国が生産も輸出もリードする製品が残っている
金属
化学・石油化学品とパルプ
世界製造業の勢力図-現状と展望
3 農業と工業-新興大国の優位
コモディティの生産・輸出大国は世界の地位を高めている
コモディティの世界貿易シェアは激増している
コモディティ部門の勢力図
農産物
燃料
鉱物資源
4 サービス-先進国の優位
世界のサービス輸出入の分布
交通と旅行サービス-アメリカはリード、中国は急増
コンピュータ・情報サービス-インドの奇跡
サービスの貿易収支-米英は大黒字、新興大国と日本は赤字
5 金融力-米英日はリード、中ロは金融大国へ
対外資産から見た金融力
海外直接投資の大国
家計の富
金融力バランスの変化
6 21世紀の世界経済-コ・リーダーシップの構図
支配構造の変化のシナリオ
「アメリカの新世紀論」ははずれている
コ・リーダーシップの意味
今世紀の国家間の主な利害対立
第2章 先進国の経済が低迷しても新興大国の経済が伸びる-デカップリングの時代
1 リーマン・ショック-新興大国の自律的成長の出発点
デカップリング(非連動性)の実態
自律的成長-4つの原動力
2 新興大国における大量消費社会の形成
堅実さを示す個人消費
急増する中間層人口
世界の個人消費拡大をリードするアジア
ライフスタイル-買い物を大好きな遊びとみる新興大国の「ショッピング社会」
所得と消費の好循環
3 成長を支える財政出動
新興大国の良好な財政状況
スリムな福祉国家
インフラ整備ラッシュ
4 成長をけん引する地方と地方都市
ファーストランナー地方の台頭
地方の経済成長は大都市より速い
ケーススタディ-急成長する地方と地方都市
インドのコーヤンブットール市
インドネシアのマカッサル市
ブラジルのレシフェ市とスアベ港
ロシアのクラスノダール地方
地方がけん引する成長の意義
5 急拡大する新興国間貿易
新興国間貿易の増加ペースはいちばん速い
新興大国同士は重要な輸出先になった
6 ポスト・デカップリング-新興大国が世界経済の成長エンジンになる
E9の市場規模はまだ小さい
2030年までに新興大国は世界経済の成長をけん引できる輸入大国にもなる
第3章 新興大国のコンディション
1 マクロ経済の状況
GDP成長率
インフレ
財政収支
経常収支
固定資本形成の対GDP比率
失業
E9のマクロ経済状況は良くなった
2 内情の安定性
民主主義体制はどこまで定着しているか
内情不安定のリスク
政権打倒のリスク
政権に対しての抗議行動
民族間対立と宗教紛争
犯罪組織の脅威
テロの脅威
内情不安定化リスクの総合評価
3 産業競争力
コモディティ部門の競争力
製造業の競争力
中国の競争力-新しい展開
サービス業競争力
ロシア-北極海航路の活性化
21世紀初頭の産業政策
産業競争力の上昇とつぎのビッグチャレンジ
4 ビジネス環境とグローバルビジネス拠点としての魅力
「官」と「民」
外資系企業に対する姿勢
官僚の効率と対内直接投資の規制
汚職の帝国
労使関係と労働市場の状況
コストの上昇
中国のビジネス環境の進化
処方箋-新興大国経済のコンディションはよいがそのビジネス環境は先進国に劣る
第4章 新しい世界経済の兆候
1 グローバル価格とグローバル賃金が形成している
2 先進国と新興国との生産コストの格差が消える
3 工業生産は先進国に回帰する
4 「本物効果」により先進国から新興国への輸出が伸びる
5 新興大国の企業は非価格競争力を高める
6 新興大国のコモディティ企業は有力なグローバル企業になる
7 E9・G7の経済連携によるシナジー効果が大きくなる
先進国からの投資は新興大国経済の高度化を促す
新興大国からの投資は先進国の経済を活性化させる
企業人材の「国際化」が進む
「ウィン・ウィン・ゲーム」のチャンスが出る
【著者紹介】
1956年モスクワ生まれ。新潟経営大学教授。著書に『日本を豊かにする3つの方法』(小学館SAPIO選書)、『ロシア経済に何が起こっているか』(日本経済新聞出版社)などがある。
内容説明
新しい勢力図の誕生と日本成長への展望。国際的エコノミスト日本語で書き下ろし。
目次
第1章 激変する世界経済の勢力図(新興大国経済の規模が先進大国を超える日;製造業―新興国と先進国の分業の深化 ほか)
第2章 先進国の経済が低迷しても新興大国の経済は伸びる―デカップリングの時代(リーマン・ショック―新興大国の自律的成長の出発点;新興大国における大量消費社会の形成 ほか)
第3章 新興大国のコンディション(マクロ経済の状況;国内情勢の安定性 ほか)
第4章 新しい世界経済の兆候(グローバル価格とグローバル賃金が形成している;先進国と新興国との生産コストの格差が消える ほか)
著者等紹介
ツェリッシェフ,イワン[ツェリッシェフ,イワン] [Tselichtchev,Ivan]
新潟経営大学教授。フランス通信(フランス・プレス)のコメンテータ、CNBC TVのコメンテータ、オクスフォード・アナリティカのライターを兼務。1986年、ゴルバチョフのペレストロイカ時代のソ連の労働英雄メダル受賞、2004年、内閣府から「生活達人」に認証。英語、日本語、ロシア語の3ヵ国語で300冊以上の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Sanchai