情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック

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  • サイズ A5判/ページ数 175p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784757103870
  • NDC分類 007.04
  • Cコード C0036

出版社内容情報

情報環世界王にボクはなる!   
生物学者のユクスキュルが提唱した「環世界」という概念がある。生物はそれぞれ特有の知覚世界の中に住んでおり、その閉じた世界の中で行動しているという考え方である。現代社会において、私たちはテクノロジーによって制御された情報に囲まれ、閉じた情報の世界で行動している。そうしたいわば「情報環世界」の中で、私たちはどのように豊かに生きることができるのだろうか。気鋭の研究者、クリエイターたちが、情報技術と人間の関わりの中で考え、テクノロジー、人間科学、芸術表現に基づく人間・社会の新しいビジョンを提示する。

内容説明

家族も友人も、SNSのタイムラインは人それぞれ。互いに異なる情報環境に加えて、AIやロボットも到来する今、「わからないもの」と共に生きる秘訣とは?AI時代を読み解く新定義、「情報環世界」の旅が始まる。クリエイターと研究者たちが本気で考えた決定版!

目次

1 まず閉じこもることから―身体と情報環世界
2 情報環世界をうつす―“写す・移す・映す”
3 “わかる”と“つくる”の情報環世界―環世界間移動能力と創造性
4 世界と関係する、身体的な想像力―憑依とテレパシー
5 情報環世界とは何だったのか(情報環世界実践編 ワークショップの手引き;意識の辞書とは?;本書を読み解くためのブックガイド)

著者等紹介

渡邊淳司[ワタナベジュンジ]
NTTコミュニケーション科学基礎研究所人間情報研究部上席特別研究員。NTTサービスエボリューション研究所2020エポックメイキングプロジェクト兼任。博士(情報理工学)。主著に『情報を生み出す触覚の知性―情報社会をいきるための感覚のリテラシー』(化学同人、第69回毎日出版文化賞“自然科学部門”受賞)など。文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞(2008年)、Art Electronica Prix Interactive Art部門Honorary Mention(2011年)、同審査員(2012年)

伊藤亜紗[イトウアサ]
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は美学、現代アート。もともとは生物学者を目指していたが、大学3年次に文転。2010年に東京大学大学院博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2017受賞

チェン,ドミニク[チェン,ドミニク]
1981年生まれ。フランス国籍。博士(学際情報学)、早稲田大学准教授。クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事、株式会社ディヴィデュアル共同創業者。IPA未踏IT人材育成プログラム・スーパークリエイター認定。2016~2018年度グッドデサイン賞・審査員兼フォーカスイシューディレクター

緒方壽人[オガタヒサト]
Takramディレクター。ソフトウェア、ハードウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで幅広く領域横断的な活動を行うデザインエンジニア。東京大学工学部卒業後、IAMAS、LEADING EDGE DESIGNを経て、Takramに参加。2015年よりグッドデザイン賞審査員を務める

塚田有那[ツカダアリナ]
編集者、キュレーター。世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。一般社団法人Whole Universe代表理事。サウンド・アーティストevalaによる「See by Your Ears」のディレクターとしてさまざまな音と都市のプロジェクトを展開。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。2012年より、東京エレクトロン「sola´e art gallery project」のアートキュレーターを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

torami

26
伊藤亜紗さんらが参加する「情報環世界研究会」の報告。十回のセッションをまとめたものなので内容は駆け足。しかし、断続する各章の内容が堆積するうちに、読者である自分も「あそぶ」ように哲学を楽しめた。 散々言われてることだろうけど、鍵はフィルターバブル。通販サイトやSNSのアルゴリズムは、利用者の趣味嗜好を読み取って情報を提供する。これによる社会の断絶を、人間の「様々な環世界を行き来する能力」の衰えとして説明するのが興味深かった。 一方、もう一つのテーマの身体論も、視覚や聴覚からのアプローチが面白かった。2019/05/25

そんれい

15
ユクスキュルは「生物は知覚標識で満たされたシャボン玉の中にいるようなもの」と比喩した。生物は一見同じ世界に生きているようで、実は全く別の世界を生きている。現在の制御しきれない自然、情報等環境において「違う」を前提にした価値観を提唱するもの✨いろいろ考えさせてくれます。2020/07/18

あっくん

13
「環世界」をキーワードに、現代社会でどう自身や他者と「わかりあえる」かをテーマとした論考集。 私は環世界とは人間誰しもが個別に持つ「認知ゾーン」と解釈した。また意識的と無意識的ゾーンの2つが重ならないで存在する。これらは国籍や性別、出自等で大きく異なるため、多様性が進む社会では他者のゾーンと容易に重なることがなくなり「わかりあえなく」なる。 日本社会では同調圧力が根付いているため、重なる部分が多かったがコロナ禍によって減った肉体的な接触でしか無意識的ゾーンは探れない。リアルに人に会う価値はそこにある。 2022/11/20

MIKI(magicrose)

13
読み始めは、情報環世界どころか、そもそも「環世界」って何?という状態でした。「情報環世界」とは、"生物はそれぞれの身体や感覚器官の制約に基づく閉じられた世界で、自分なりの意味を見つけながら生きている」という生物学者ユクスキュルが提唱した「環世界」という概念を現代の情報環境の中で新しい視点で捉え直し、あらゆる「私ならざるもの(=他者)」と対話していくことで、多様な人々が豊かに生きる方法論を見出そうとする概念だとか???うーん、わかるようなわからないような。何回か読み直しているうちに理解できるだろうか……2019/07/15

Ryo

11
人と人をつなぐ筈だったインターネットは、推薦や選択によって個々のバイアスを強め、人々を分断する方向進歩してしまった。バイアスの強まった個人の認知方式は固定・強化され、情報環世界と呼ぶにふさわしいものへと発展した。知覚方法が各々に違う人類がわかりあい、発展していくには… 様々な分野のボードメンバーがレクチャーやワークショップを通して得た、哲学的な学びの集大成。良書。2020/05/17

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