メディア考古学―過去・現在・未来の対話のために

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 318,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784757103542
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C0036

出版社内容情報

失われたメディアを求めて

古くなり、忘れられ、消えてしまったメディアを再考察することによって、今日の新しいメディアへの理解を深める試みが、「メディア考古学」である。メディア考古学は、技術決定主義に基づく進歩の歴史観を解体する。
本書は、メディア考古学の第一人者、エルキ・フータモの代表的な論文を集めた、メディア考古学の最良の入門書である。

第1部 理論編
 第1章 メディア考古学の考古学
 第2章 妖精エンジンを分解する――トポス研究としてのメディア考古学
 第3章 異文化間のインターフェース――西洋びいきのメディアの歴史を修正するために

第2部 実践編
 第4章 愉快なスロット、困ったスロット――アーケードゲームの考古学
 第5章 ソーシャルメディアというパノプティコン

第3部 架橋編
 第6章 「世界はみな、ひとつの万華鏡」――メディア文化揺籃期へのメディア考古学的見通し
 第7章 バックミラーの中のアート――アートにおけるメディア考古学的伝統

訳者解説
参考文献表
索引

【著者紹介】
1958年フィンランド生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デザイン・メディアアート学部教授。メディア文化論の世界的権威。

内容説明

メディア考古学とは、万華鏡、覗きからくり、ジオラマのような、淘汰され、多くは失われてしまった過去のメディアの再考察を通して、メディア全般への理解を深めようとする試みである。技術決定論的・単線的・目的論的な進歩史観から脱し、複数の異なるメディア文化の過去と現在を対話させようというその問題意識は、現代のメディアアーティストたちにも影響を与えている。本書はメディア考古学の第一人者であるエルキ・フータモ教授の代表的な論文を集めた、日本独自編集のアンソロジーである。メディア考古学の理論的背景やその射程、具体的なメディア考古学の実践、さらには現代アートとメディア考古学の関連など、多彩な論考を収めている。メディア考古学への最良の道案内となるであろう。

目次

第1部 理論編(メディア考古学の考古学(エルキ・フータモ;ユシー・パリッカ)
妖精エンジンを分解する―トポス研究としてのメディア考古学
異文化間のインターフェース―西洋びいきのメディアの歴史を修正するために)
第2部 実践・架橋編(「世界はみな、一つの万華鏡」―メディア文化揺籃期へのメディア考古学的見通し;愉快なスロット、困ったスロット―アーケードゲームの考古学;ソーシャルメディアというパノプティコン―メディア装置についての省察;バックミラーのなかのアート―アートにおけるメディア考古学的伝統)

著者等紹介

フータモ,エルキ[フータモ,エルキ] [Huhtamo,Erkki]
1958年フィンランド生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デザイン|メディアアーツ学科およびフィルム・テレビジョン・デジタルメディア学科教授。メディアアートを含むメディア文化論全般の世界的権威、数々のメディアアート関連の展覧会のキュレーションも手がける。NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)設立時にアドバイザーを務めるなど、日本との関係も深い。早稲田大学、京都大学、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)など、日本国内でも定期的にレクチャーを行い、文化庁「世界メディア芸術コンベンション」の常連パネリストでもある

太田純貴[オオタヨシタカ]
1980年長野県生まれ。美学美術史。京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修了。京都大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。2009‐11年、日本学術振興会特別研究員(DC2)。2011‐12年、京都大学教育研究振興財団より在外研究長期助成を受け、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デザイン|メディアアーツ学科で在外研究に従事し、エルキ・フータも教授に師事した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぷほは

6
長く積読していたのだが、蔵書整理がてらふと目次を眺め、2章のクルティウス論を発見。読んでみるとトポス論をメディア文化に当てはめて展開するという、なんでもっと早く読んでおかなかったのか後悔する内容だった。考古学というと切断面の強調を想定してしまうが、むしろ著者は系譜学を意識し、何度も回帰するメディア上の定型句やお馴染みの表象から「むかしはいま、いまはむかし」を実証する。岩井俊雄って誰だっけ?……ってウゴウゴルーガの人やんけ、みたいな発見もあり、西欧一辺倒ではない目線も好ましく、お手本にしたいバランス感覚。2024/02/22

ayaMurakami

0
若者よ!歴史を忘れるな!という筆者の思いがひしひしと伝わる。最近耳にした岩井俊雄問題(若いアーティストが岩井俊雄の仕事を知らないまま同じような作品をつくってしまうこと)を思い出した。2017/06/15

eraser head

0
世界認識のフィルターとしてのメディアにおける連続と切断の在りかを見定めるための「トポス」(定型文句)が現れるコンテクストを記述し、その類似の限りで過去と現在のメディア環境とその受容のされ方を並列的に扱う。すなわち世界認識のための条件の相対化を認識主体の側に求めるのではなく、世界の側から跡付ける試みの一つとしておもしろい。具体的な記述が豊富。2015/11/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9207611
  • ご注意事項