内容説明
愛を深化させる蜂蜜の甘みに、生を銜ませる乳の味に、エロスを象る果物の形象に、魂の飢えを満たす甘美なる糧に、異郷からもたらされた新たなる味に、味覚がアルカディア的瞬間に迸流させる、感覚を媒介にしたイメージの生成を視る。
目次
第1章 花嫁の純潔と蜜蜂の恵み―ピエロ・ディ・コジモ『蜂蜜の発見』
第2章 カリタスの糧―カラヴァッジョ『七つの慈悲のおこない』
第3章 ああ桃よ、他のなによりも祝福され―カラヴァッジョ時代の性的な暗喩に満ちた静物画
第4章 甘美なる魂の糧―ダニエレ・クレスピ『聖カルロ・ボッロメーオの断食』
第5章 コーヒー・お茶・チョコレート―シャルダン『お茶を飲む婦人』
解説 味覚のヨーロッパ的表象―ピエロ・ディ・コジモからシャルダンへ