出版社内容情報
鎌倉幕府の歴史は、正史『吾妻鏡』にいかに叙述されているのか。源平合戦、御家人の抗争、北条氏の権力確立などを年代順に辿り、『吾妻鏡』の記述と京都の公家・寺院の記録を比較検証。何が事実であったかを読み解く。
内容説明
鎌倉幕府の歴史は、正史『吾妻鏡』にいかに叙述されているのか。源平合戦、御家人の抗争、北条氏の権力確立などを年代順に辿り、『吾妻鏡』の記述と京都の公家・寺院の記録を比較検証。何が事実であったかを読み解く。
目次
序章 鎌倉幕府の転換点を考える
第1章 可能性としての源頼朝
第2章 ポスト頼朝を勝ち残るのは誰か―比企氏の乱への道
第3章 北条時政の栄光と没落
第4章 源氏はなぜ断絶したのか―承久の乱の一側面
第5章 北条政子の時代が終わるとき
第6章 宝治合戦の真実―北条時頼の苦悩と安達景盛の決断
終章 『吾妻鏡』最後の事件―宗尊親王送還
補論 キャスティングボードとしての権門寺院―京都を制した者は誰か
著者等紹介
永井晋[ナガイススム]
1959年群馬県生まれ。1986年國學院大学大学院文学研究科博士課程後期中退。2008年國學院大学博士(歴史学)取得。神奈川県立金沢文庫主任学芸員、神奈川県立歴史博物館企画普及課長を経て、関東学院大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gecko
9
鎌倉幕府の事跡を記した『吾妻鏡』と、『愚管抄』など京都の公家・寺院による記録を比較し、鎌倉幕府の歴史を読み直す。「歴史の大局的な流れがある方向を指して進んでいくとしても、……その構成要素となる個々のユニットが必然性の枠組みによって決められた方向へ進む」わけではないとし、「選ばれなかった選択肢」についても可能性を探る。武士をめぐる時代の変化、公家と武家の結婚観の相違(夫と正室以外は男子が生まれなければ流動性の高い関係/領地の開発と経営をともに行うパートナーの結合)など興味深く読んだ。原本は2000年刊行。2022/06/04