出版社内容情報
東北で独自の生業を営んだ蝦夷。朝廷への服属に至る過程を追い、蝦夷の起源とアイヌ語地名・マタギ言葉にも独自の見解を提示する。
内容説明
古代東北に居住し、独自の生業を営んだ蝦夷。朝廷は軍事や懐柔策を使って支配を試みるも、彼らは族長に率いられ抵抗した。服属に至る過程を追い、蝦夷の起源とアイヌ語地名・マタギ言葉にも独自の見解を提示する名著。
目次
第1部 古代蝦夷の諸段階(古代蝦夷の諸段階;東国人としての「エミシ」―第一段階;大和の支配の外にある者としての「エミシ」―第二段階;大化の改新後の世界―第三段階;平安時代の蝦夷―第四段階)
第2部 蝦夷はアイヌか日本人か(蝦夷アイヌ説と蝦夷日本人説;アイヌ語地名とマタギ言葉;蝦夷日本人説;北海道の古代文化の変遷とアイヌ文化の成立;縄文人の子孫がたどった複数の道;展望・蝦夷社会は部族制社会)
著者等紹介
工藤雅樹[クドウマサキ]
1937年岩手県に生まれる。1966年東北大学大学院文学研究科博士課程修了。宮城学院女子大学教授、福島大学教授、東北歴史博物館館長を歴任。2010年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AICHAN
34
図書館本。蝦夷ははじめエミシと呼ばれ毛人とも書かれ、次にエゾと呼ばれるようになった。この「蝦夷」がいったい何者なのかを追求している。結論についてはここでは書かないが、私自身にとっては納得のいくものだった。ただし、アイヌ民族のことを外国人のように表記していることに違和感を抱いた。例えば「蝦夷はアイヌか日本人か」という小見出しにそれがあらわれている。そのことを書きたいなら「蝦夷はアイヌか和人か」だろう。アイヌも立派な日本人なのだ。というより源日本人の後裔なのだ。2019/07/04
Tom
4
原著は2001年に平凡社新書より刊。読み始めてから新書で出ていたことを知ってちょっとガッカリする。本書は著者が自身の論文をまとめた書籍三冊をまとめた一冊をさらにまとめたものである(論文→三冊→一冊→コレ)。元が新書なので、平易ではあるが、仔細には及んでない印象を受けた。先日読んだ新野直吉『古代東北史の人々』は参考文献としても挙げられていないが、共通して扱っている部分に関してはほとんど相違ない。ただ本書は考古学資料にも基づいても検討されている。また全体の2割ほどの第二部でアイヌの起源問題にも触れている。→2024/01/24
ゆずこまめ
2
昔から日本としての意識があったわけではないのだ。それを改めて認識するだけで新鮮な気持ちになる。2021/04/20
takao
1
☆蝦夷アイヌ人説、蝦夷日本人説、アイヌ縄文人の末裔説。なかなか面倒な問題だな。 2021/08/31