内容説明
1855年、100万都市江戸を襲った安政大地震。甚大な被害状況に人々はどう対応したか。幕府の御救いや民間救済事業の実態、かわら版や鯰絵から復興を願う被災者の心性を探る。災害社会史の名著に、最新の研究成果を増補。
目次
第1部 災害と情報(災害の社会性―被害の軽重;情報における事実と真実;さまざまな地震誌;地震鯰絵と民衆)
第2部 災害と救済(災害と救済;施行論―抑圧と解放と)
著者等紹介
北原糸子[キタハライトコ]
1939年生まれ。津田塾大学学芸学部英文科卒業、東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
6
新刊棚より。「施行」とは現代の義援金に相当するようだ(34頁)。被害データ盛りだくさん。ナマズもみられる。河鍋暁斎、落合芳幾、等の絵画も興味深い。打ち出の小づちで銭をめぐんでいるような絵がある(「市中宝之山」211頁)。施しを受ける者は屈辱を強いられる(283頁)。2013/08/02
taka
0
ずいぶん前ですが、卒業論文の際にお世話になった本。 鯰絵というある種滑稽さを感じさせられるものがどうして出現したか、災害ユートピアという視点を持ち出して書いていたのが印象に残っています。
ATSU
0
安政江戸地震についての本であるはずなのですが,それにとどまらず,多方面からこの地震を冷静に分析しているという気がします。もちろん,史料に基づき,一方で史料批判をし,複数の史料を突き合わせ,統計を出し,分析しています。ただ,それは,地震研究者としてではなく,歴史学者,社会史学者としての見方です。地震そのものの研究ではなく,地震時における庶民の行動や考え,幕府や豪商がとった対応,対策などに重きを置いているからですね。うまく言えませんが・・・。2018/06/20