内容説明
働く人の大多数にとって「明日は我が身」の失業。戦前期までの失業者たちの生活を、政府による失業救済事業とともに探る。軍人の独断専行など、政治的・社会的影響にも触れつつ、今日の失業問題を解決する糸口を探る。
目次
失業の歴史を考える意味―プロローグ
失業問題の歴史を追う
失業者の生活と意識
失業問題観と対策論争
唯一実施された失業対策 失業救済事業
失業保険制度不在の原因と影響
失業問題の現在―エピローグ
著者等紹介
加瀬和俊[カセカズトシ]
1949年、千葉県に生まれる。1974年、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1975年、東京大学大学院経済学研究科博士課程中途退学。東京水産大学助教授を経て、東京大学社会科学研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たぬきのしっぽ
2
近代日本の失業問題とその対策の歴史。一次大戦後~満州事変までが失業問題が深刻な時期。唯一とられた対策が失業救済事業だったが、日雇いのみを対象としうまく機能しなかった。著者によれば資本家は失業問題の解決に反対せざるを得ない。また失業が「問題」として立ち現れるのは日清戦を経て生活水準が向上し、職の有無による落差が生じたからという指摘にハットさせられる。この二つは結びついているのだろう。なぜなら労働者が高い消費欲求を持つこと、ゆえに失業を恐れる心性を持つことこそ、資本主義社会において資本家が望むことなのだから。2012/03/08
takao
1
ふむ2019/12/08
ゆる言語学徒Nk
0
今話題の解雇手当ては戦前の復活かもしれない 産業発展と都市化が失業者を生み出し暴動の恐怖を資本家に抱かせる 失業対策をするモチベーションは暴動回避 文系大学生は戦前も産業界から冷たい目で見られてた2023/08/11