内容説明
織豊政権時代の武将・関白。豊臣秀吉の実姉の子に生まれ、三度目の養家先として跡継ぎのいない秀吉に迎えられる。秀吉から関白職を譲られると、聚楽第にあって学文の奨励や古典蒐集などを行なうが、秀吉に実子秀頼が誕生後、高野山に追放され果てる。妻子を巻き込む惨劇となった「秀次事件」の真相と影響を探り、叔父秀吉に翻弄された生涯を描く。
目次
第1 生い立ち
第2 三好氏時代
第3 八幡山城主
第4 関白一門として
第5 尾張清須城主
第6 関白就任
第7 太閤と関白
第8 秀次事件の真相とその影響
第9 秀次像の形成
著者等紹介
藤田恒春[フジタツネハル]
1952年生まれ。1979年関西大学大学院博士課程前期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Taka
47
ちょっとご縁のある歴史上の人物伝。地元では悲劇の人であり、悪く言う人はあまりいない。現に街は江戸時代を通じて商業が栄え、祭りなどの文化も現在まで継承されている。かなり広範な文献を調べて書かれているが、若くして亡くなっていることもあり、逸話や武勇伝もほぼなく、なかなか人物像の見えにくい方であるところが残念。2019/06/11
金吾
28
○イメージ先行の秀次について、ある程度知ることが出来ました。秀次は努力家でありながら器ではなかったように思えますが、数少ない縁者ということで取り立てられたことが弟たちも含めその点が悲劇だと思います。秀次事件の一連の動きは豊臣家の勢力を弱体化しましたが、中央集権を目指す秀吉政権にとりやり方に問題はあるが致し方ないようにも感じました。2023/04/03
だまし売りNo
20
秀吉は豊臣秀次に関白職を譲り、豊臣家の後継者とした。ところが、その後に秀吉と淀の間に秀頼が誕生してから雲行きが怪しくなった。秀次は文禄四年(一五九五年)に謀反の理由に高野山に追放され、七月一五日(八月二〇日)に自刃した。秀次の自刃は豊臣家滅亡の遠因である。豊臣家は秀吉死後に柱石となる人物を失い、徳川家康の天下取りを容易にした。秀次を死なせたことは秀吉の愚行になる。2021/12/05
浅香山三郎
10
豊臣秀次といふ謎が多い人物について、確実な史料を用いて論じた堅実な評伝。 秀次自らの書き残したものや、言動の記録が限られるが故に、なおさら、死の謎は深く、秀吉の怖さが強く印象に残る。2016/06/12
hoiminsakura
7
秀次は秀吉に人生を翻弄された気の毒な人というイメージがあったので確認したかった。人間としてどうなの?というような行動を裏付ける史料も残っているようだが、あえてその理由を想像してみると、やはり運命を呪ったかのような心情が垣間見えてくる気がする。一時は秀吉の後継者として登りつめた高揚感を味わったかも知れないが、秀頼誕生を契機に一族は不幸のどん底に落ちていく。やはり可哀想な人生だったと思った。秀吉の性格を鑑みて、地位や名誉にしがみつかずに降りちゃえば良かったんじゃないかな。合掌。2022/03/02