内容説明
三度皇帝に即位した溥儀の生涯を、二十世紀という時代のなかに、そして中国という舞台のなかに位置づけて理解してみたい。溥儀の生涯は、これまで「数奇な生涯」として理解されてきた。これに対して、「変転する政治に翻弄された生涯」として、溥儀を皇帝に即位させた時代、勢力との関係から溥儀の人生を考えてみたい。本書は、従来の溥儀像に批判の目を向けることを心がけて書かれている。
目次
なぜ溥儀の伝記を書くのか
1 清朝の皇帝として
2 中華民国の治政と紫禁城での生活
3 紫禁城を追われて
4 満洲国の皇帝として
5 退位から死去まで
著者等紹介
塚瀬進[ツカセススム]
1962年生まれ。中央大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻、マンチュリア史・中国近代史。現在、長野大学環境ツーリズム学部教授。博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sovereigncountr
2
映画『ラストエンペラー』の理解を深めるために読破。溥儀の主体性と権力欲を軸によくまとめられている。2023/06/29
電羊齋
1
溥儀の生涯について、最新の研究も参照しつつ、要領よくまとめている。溥儀の自伝『我が半生』の三種類の版本とその相違など、興味深い内容が多い。また、これまで強調されてきた溥儀の傀儡性のみならず、溥儀なりの主体性、状況刷新への取組も指摘しているが、紙幅の関係からか、深く掘り下げられてはいない感じ。溥儀とその時代についてより深く知りたい方には、巻末掲載の参考文献リストを手がかりに、より多くの文献・史料にあたっていくことを勧めたい。2015/10/11
こまさん
0
清朝最後の皇帝として、満州国の皇帝として、政治的に利用され続けた人物の伝記。コンパクトに内容を知るにはちょうど良い。政治史に突っ込み過ぎない形の叙述。2016/11/02
悸村成一
0
レプリカの伝記。総体を誤報、誤伝、虚構と見るしかない。図書館本。 1702015/12/16