内容説明
前人未到の大征服をなしとげ、世界史に比類なき足跡を残したマケドニア王アレクサンドロス。本書は、その大征服の基盤を築いた父フィリポス二世との関係を軸に、アレクサンドロスの疾風怒涛の生涯を追い、神話と伝説に包まれた彼の実像を探っていく。死後はてしなく増幅していったアレクサンドロスのイメージの変遷をたどり、現代においてもなお圧倒的な存在感を放つ「偉大なる王」アレクサンドロスの姿を描き出した。
目次
現代に生きるアレクサンドロス
1 アレクサンドロスの征服と野望
2 父と子
3 幻影のアレクサンドロス
著者等紹介
澤田典子[サワダノリコ]
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。専攻は古代ギリシア・マケドニア史。現在、千葉大学教育学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
33
アレクサンドロス・ホ・メガスの簡潔な評伝。2013年刊。アレクサンドロスが父王ピリッポスの暗殺により王位に就いてからバビロンで病死するまでわずか12年、本文にしてわずか20ページ分にすぎない。ただし彼の偉大なる征服者としてのインパクトは文明を超えてユーラシア全体に広がり、アレクサンドロス・ロマンと呼ばれる膨大な伝承群が生まれた。個人的にはこっちのほうが遥かに興味深いテーマで、ヨーロッパでのアーサー王伝説やシャルルマーニュ伝説との比較、中東におけるイスカンダル伝承の変容などをもっと深掘りしたいところ。2022/11/29
ジュンジュン
12
アレクサンドロス大王は不滅だ。現代、ギリシアが「カヴァラ・アレクサンドロス大王空港」と命名すれば(92年)、負けじとマケドニアが「スコピエ・アレクサンドロス大王空港」と改称する(06年)。両国の「アレクサンドロス」を奪い合いは、まさに現代版「後継者戦争」。2022/12/23
ピオリーヌ
11
現代のギリシアとマケドニアのアレクサンドロスをめぐる争いを、かつての後継者戦争と準える構成が巧み。以前にも感じたことだが、アレクサンドロスに関する書物を読むたびに父フィリッポス二世の偉大さを思い知る。「大王」はフィリッポスにこそ相応しいのではないか。アレクサンドロスの卓越した戦場での軍事的手腕にはケチのつけようが無いが、的確な情勢判断のもと、強大な武力のみならず、買収工作・婚姻外交・秘密交渉・宗教的プロパガンダの活用等、種々の武器を自在に使い分けるフィリッポスにより魅力を感じる。著2022/02/20
aisu
10
ローマの物語で度々目にするアレクサンドロスについて知りたくて。薄くて文字の大きい本。だが、必要な事はちゃんと纏めてくれてる感じ。何が本当で何が嘘か…。だいたいこの人何人?と思ってたら、今現在のギリシャとマケドニアでも争奪戦になっているとか。2015/05/10
中島直人
4
(図書館)読了2023/03/04