出版社内容情報
昔の津和野の風景を安野光雅の柔らかな色彩で描いた見開き25点以上の挿絵とともに、戦争を挟んで別れ別れになってしまった弟との思い出をユーモアと哀切を奏でる文章で綴る好著。
安野 光雅[アンノ ミツマサ]
著・文・その他
内容説明
鏡を水平において、そのなかを覗くのが、一人遊びの極意であった。故郷、弟のこと、そして忘れえぬ人たち―空想と不思議な世界への招待状。
目次
幼年学校
兄の気持
宗男
傷の痕
藤本先生
雪ダルマ
蕪坂峠
菊と火事
杉鉄砲
治ちゃんと成ちゃんのこと〔ほか〕
著者等紹介
安野光雅[アンノミツマサ]
1926年、島根県津和野町生まれ。山口師範学校研究科修了。1974年度芸術選奨文部大臣奨励賞、その後ケイト・グリナウェイ特別賞(イギリス)、最も美しい50冊の本賞(アメリカ)、BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞などを受賞。1988年に紫綬褒章、2008年に菊池寛賞を受ける。2012年、文化功労者に選出された。津和野に「安野光雅美術館」、京丹後市には「森の中の家 安野光雅館」がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
158
御存じ安野光雅さんの世界。絵もたっぷり。弟さんへの思い(ご本人は罪滅ぼしと仰っているが・・)が伝わると同時にその頃の日本の様子もわかる。弟さんも挿絵を描いていてそれも又どこか優しく、安野さんの文章このタイトルと絵は、そこはかとなく心に響くのだった。(-私、ちょっと弱ってる?)2018/05/28
けんとまん1007
33
尊敬してやまない安野光雅さん。そんな安野さんの、故郷・弟さんへのオマージュのように思う。絵や文章から、自分自身の小さい頃のこおを、たくさん思いだした。この国の原風景でもあり、自分の原風景でもある。ゆったりとした時間の流れを思い出した。安野光雅美術館、行ってみたい・・が、遠いなあ~。2018/07/12
tama
10
図書館本 安野ファン 冒頭の絵の強烈な寂しさ!文章の内容は子供時代の津和野のことが殆ど。風景画が素敵です。「麓耕」「喜時雨(地名:きじう)の農家」どちらも晩秋の絵ですが大好き。今回は終りの方のページに弟宗男さんの描かれた絵が一杯載ってますが、細密、質感タップリ「糸巻き」「笹団子」が凄いです。名前を出さない方だったようです。お兄さんより先に逝かれたそうですが作品集出して欲しい。ヒトリ・ダマリ・ノ・ミチ このお話は心に残る。2018/09/30
犬養三千代
9
五歳下の弟「村井宗二(ペンネーム)」さんへの鎮魂。柔らかなタッチの故郷の絵は懐かしい昭和を思い出します。津和野へ行ったのはもう30年以上前で変わっているだろうな。でも、もう一度行ってみたい気にさせる一冊です。安野光雅美術館には是非行きたいな。「ヒトリ ダマリ ノ ミチ ナガイ」「フタリ ハナシ ノ ミチ ミジカイ」2020/02/23
きょう
8
自分の故郷ではないのに、懐かしさに胸が熱くなりました。安野さん、家の構造から友人の名前まで記憶の確かさに驚きます。今、津和野に行ったからとて同じ景色を見ることはできません。それでも、いつか津和野から山を眺めて安野さんを偲びたいと思います。ゼンマイ?ヤマツツジ?それぞれの風景の足元にひっそりとあった植物かしらとしみじみ見ました。2022/11/03