出版社内容情報
「学問」と「政治」の協働とは。理想に挑んだ人たちの熱情を余すところなくとらえた物語。資本主義社会が進展する限り、格差社会の存在は不可避なものである。その格差に対して、思想家と政治家は、福祉という処方箋をいかに協働して歴史上繰り出し、そして実現してきたのか。格差問題研究の第一人者が、戦前から戦後、そして21世紀の現在に至るまで、「豊かで平等な人間社会を創出したい」という熱意とそれを実現する知恵と力を、日本を含めた世界各地の「福祉と格差」に挑んだ人たちから探る。
はしがき
序 章 福祉と格差に挑む――不確実性に備える制度
第?部 夫妻による福祉政策への貢献
第1章 シドニー・ウェッブとベアトリス・ウェッブ――ナショナル・ミニマムの提唱
1 夫妻の歩み
2 フェビアン協会での活動
3 ナショナル・ミニマムの実現へ
第2章 グンナー・ミュルダールとアルヴァ・ミュルダール――福祉国家と平和と
1 ミュルダール夫妻
2 グンナー・ミュルダールの経済学と福祉国家論
第?部 欧米諸国での福祉改革
第3章 マルクスとビスマルク――新しい経済思想と鉄血宰相
1 カール・マルクスの果たした役割
2 オットー・フォン・ビスマルク
3 歴史学派と社会政策
第4章 ロイド・ジョージとチャーチル――福祉においては政治家の役割が大きい
1 デイビッド・ロイド・ジョージ
2 ウィンストン・チャーチル
3 ロイド・ジョージの社会保険制度
4 イギリスの福祉制度と政治
第5章 「ベヴァリッジ報告」をめぐって――ゆりかごから墓場まで
1 ベヴァリッジ以前の歴史
2 ベヴァリッジ報告への過程
3 ベヴァリッジ報告とそれ以降
第6章 フランクリン・ルーズベルトと社会保障――ニューディール政策で実現する福祉
1 アメリカの社会保障制度
2 フランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディールと福祉
第7章 ピケティの格差論とフランス社会保障――21世紀の格差
1 ピケティの格差論
2 フランス社会保障制度の父・ピエール・ラロック
第?部 日本の福祉制度と政治・学問
第8章 日本の福祉とその推進者――日本における福祉の元祖
1 戦前日本の福祉制度
2 後藤新平、武藤山治、そして福田徳三
第9章 美濃部亮吉と田中角栄――「福祉元年」を考える
1 左派と右派の不思議な組み合わせ
2 マル経学者の革新的政策
3 日本の「福祉元年」を創り出す
4 「福祉元年」
終 章 政治家と学者の役割は重要――福祉と格差のこれから
参考文献
人名・事項索引
橘木 俊詔[タチバナキ トシアキ]
著・文・その他
内容説明
資本主義社会が進展する限り、格差社会の存在は不可避なものである。その格差に対して、思想家と政治家は、福祉という処方箋をいかに協働して歴史上繰り出し、そして実現してきたのか。格差問題研究の第一人者が、戦前から戦後、そして二一世紀の現在に至るまで、「豊かで平等な人間社会を創出したい」という熱意とそれを実現する知恵と力を、日本を含めた世界各地の「福祉と格差」に挑んだ人たちから探る。
目次
福祉と格差に挑む―不確実性に備える制度
第1部 夫妻による福祉政策への貢献(シドニー・ウェッブとベアトリス・ウェッブ―ナショナル・ミニマムの提唱;グンナー・ミュルダールとアルヴァ・ミュルダール―福祉国家と平和と)
第2部 欧米諸国での福祉改革(マルクスとビスマルク―新しい経済思想と鉄血宰相;ロイド・ジョージとチャーチル―福祉においては政治家の役割が大きい;「ベヴァリッジ報告」をめぐって―ゆりかごから墓場まで;フランクリン・ルーズベルトと社会保障―ニューディール政策で実現する福祉;ピケティの格差論とフランス社会保障―21世紀の格差)
第3部 日本の福祉制度と政治・学問(日本の福祉とその推進者―日本における福祉の元祖;美濃部亮吉と田中角栄―「福祉元年」を考える)
政治家と学者の役割は重要―福祉と格差のこれから
著者等紹介
橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年兵庫県生まれ。1967年小樽商科大学商学部卒業。1969年大阪大学大学院修士課程修了。1973年ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。仏米英独での研究職・教育職を経て、京都大学教授、同志社大学教授。現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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