内容説明
鈴木貫太郎(一八六八~一九四八)海軍兵学校第十四期卒業。日清・日露両戦役に従軍、勇猛な水雷屋として驍名を馳せる一方、軍政面でも異能を発揮し、聯合艦隊司令長官・軍令部長と最高の顕職を勤務の後、侍従長となり、昭和天皇の厚い御信頼を得る。最早他に人が居ないという土壇場で輿望を担って内閣総理大臣を引受け、見事に天皇と国民の悲願に応え、大戦争の収拾という救国の難事業を成就する。
目次
少年時代
海軍兵學校
日清戰争從軍とその後
海軍大學・歐洲留學時代
日露戰争での活躍
海上勤務・艦隊司令時代
軍政面での奉公
艦隊勤務への復歸・遠洋航海
最高の顯職へ
豫備役編入・侍從長時代
終戰工作の大業
晩年と終焉
著者等紹介
小堀桂一郎[コボリケイイチロウ]
1933年東京生まれ。1958年東京大学文学部独文科卒業。1961~63年旧西ドイツ・フランクフルト市ゲーテ大学に留学。1968年東京大学大学院博士課程修了、文学博士学位取得。東京大学助教授、同教授、明星大学教授を経て、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
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終戦時の首相鈴木貫太郎の伝記。海軍軍人としての「愉快な日々」は終わり、予備役に編入されると、途端に政治の世界に足を踏み入れざるをえなくなる。鈴木は自らのことを「一介の武弁」といいつつも、なかなかの政治手腕をもっていた。それが昭和天皇の「まげて頼む」という大命降下の際の言葉に表れている。鈴木と比較すると昭和初期の軍人は実戦経験もなく、人材的に枯渇していたと思う。「軍人勅諭」の軍人は政治に介入してはいけないを終生守ったのが鈴木だが、彼こそ真の軍人だと感じた。かなり読みごたえがある。2017/06/13