Minerva歴史・文化ライブラリー
天平に華咲く「古典文化」―続・「やまとごころ」とは何か

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  • サイズ B6判/ページ数 355,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784623075003
  • NDC分類 210.35
  • Cコード C3321

出版社内容情報

日本人にとっての「古典」とは。記紀神話、神仏融合文化、奈良遷都、仏師と仏像…飛鳥・奈良期に生まれた日本文化の根源を探る日本において本格的な国家はいつ生まれたのか。それは決して近代の産物ではなく、飛鳥から奈良時代にかけての時期に遡る。本書では、『古事記』『日本書紀』の形成、鎮護国家的仏教理論『金光明経』を基にした東大寺や国分寺などの寺院建立、そして『大宝律令』の法令整備などが天皇を中心になされ、ついには世界にもない統一体をもって国家が作り上げられた過程を解明する。『「やまとごころ」とは何か』待望の続編。

はしがき

 

 第?部 飛鳥に生まれた国家

第一章 日本という国家共同体

 1 個人は共同体に依拠する

 2 国家観の形成――『日本書紀』の語るところ

 3 日本という共同体観

 4 愛国心という言葉の発生



第二章 国家観に基づく芸術・文化――「古典主義」

 1 ダンテと大伴家持

 2 国家意識はどのように成立したか

 3 聖徳太子と国家



第三章 「黄金の国」日本

 1 日本の金・銀・銅技術の高さ

 2 金工品は日本で造られた

 3 藤原京の建設



第四章 飛鳥・天平に生まれた「神仏融合文化」

 1 飛鳥・天平文化とは

 2 天武天皇の神道と仏教

 3 『記・紀』『万葉集』は「仏教文化」ではない



第五章 「宗教国家」の誕生

 1 「近代」の虚妄、「宗教」の無視

 2 天武天皇と神祇

 3 日本の釈尊、聖徳太子と九重塔が聳え立つ大官大寺

 4 薬師寺、山田寺の創建



第六章 日本神話の世界性

 1 戦後の日本神話観の不毛さ

 2 『万葉集』、鉄剣銘と日本神話

 3 ギリシャ神話との類似性

 4 『旧約聖書』と日本神話



 第?部 奈良平城京で華開く「古典文化」

第七章 奈良遷都と藤原不比等の役割

 1 平城京への思い

 2 藤原不比等の役割

 3 平城京遷都の実態

 4 「百官の府」平城京



第八章 奈良仏教と「古典文化」

 1 「戦後レジーム」の終焉と「権力闘争史観」の崩壊

 2 奈良の名の由来

 3 春日山の神が見守る奈良

 4 南都六宗ではなく二宗であった



第九章 唐美術から自立した薬師寺三尊

 1 遷都千三百年記念「大遣唐使展」を見て

 2 薬師寺は平城京へ移転された

 3 金堂「薬師三尊像」の位置づけ

 4 唐美術の影の薄さ



第十章 「うるわし」の奈良・大仏

 1 壮麗な大極殿の復元

 2 奈良の大仏の意味を改めて問う

 3 どこに盧舎那仏を建てるのか

 4 「うるわし」の大仏



第十一章 東大寺を創造した仏師――「公麻呂」

 1 優れた仏像には優れた仏師がいる

 2 仏師は日本だけの名称

 3 国中連公麻呂の記録

 4 大仏開眼の後、何をしていたか

 5 法華堂の仏像と公麻呂の新考察

 6 「不空羂索観音像」と「執金剛神立像」

 7 「日光・月光菩薩像」と「四天王像」



第十二章 光明皇后の思想

 1 民間御出身の美智子皇后陛下

 2 光明皇后の福祉事業

 3 老人医療

 4 光明皇后の福祉思想

 5 「しりえの政」



第十三章 歌の殉死――大伴家持にとっての歌の意味

 1 家持の出自

 2 家持の幼年時代

 3 青年家持の躍動

 4 越中への転任

 5 「美」には歌を作らず

 6 聖武天皇崩御

 7 なぜ歌を殉死させたか



あとがき/事項索引/人名索引

田中 英道[タナカ ヒデミチ]
東北大学名誉教授

内容説明

日本人にとっての「古典」とは。記紀神話、神仏融合文化、奈良遷都、仏師と仏像…飛鳥・奈良期に生まれた日本文化の根源を探る。

目次

第1部 飛鳥に生まれた国家(日本という国家共同体;国家観に基づく芸術・文化―「古典主義」;「黄金の国」日本;飛鳥・天平に生まれた「神仏融合文化」;「宗教国家」の誕生;日本神話の世界性)
第2部 奈良平城京で華開く「古典文化」(奈良遷都と藤原不比等の役割;奈良仏教と「古典文化」;唐美術から自立した薬師寺三尊;「うるわし」の奈良・大仏;東大寺を創造した仏師―「公麻呂」;光明皇后の思想;歌の殉死―大伴家持にとっての歌の意味)

著者等紹介

田中英道[タナカヒデミチ]
1942年東京都生まれ。1963年東京大学文学部仏文学科卒業。1965年東京大学文学部美術史学科卒業。1969年ストラスブール大学Ph.D.1990年ローマ大学客員教授。2006年ボローニャ大学客員教授。東北大学(1973~2005年)、国際教養大学特任教授(2005~11年)、国際美術史学会副会長(2002~08年)。現在、東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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軍縮地球市民shinshin

12
『新日本学』(拓殖大学日本文化研究所)と『日本國史學』(日本国史学会)に掲載された論文をまとめた論文集。天平時代の文化を、日本史学者たちはすべて「中国からの影響」でしか論評しないが、日本独自のものもあるといって反論している。あと国家権力vs.民衆という、階級闘争史観での奈良時代理解も批判している。著者は美術史なので歴史学の文献主義の研究手法とは異なるので、その論証過程に違和感は感じるが、いい加減「なんでも大陸の影響」で片付けている奈良朝史には飽きていたので面白かった。ただ、一般向けではないですね。2017/08/15

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