内容説明
室町幕府に挑み続けた勇将、戦乱の天下を治めた生涯とは。
目次
第1章 「堺幕府」の崩壊と家督の継承
第2章 細川晴元・足利義輝との戦い
第3章 領国の拡大と幕府秩序への挑戦
第4章 三好一族と松永兄弟
第5章 領国の統治
第6章 後継者たちの苦脳
著者等紹介
天野忠幸[アマノタダユキ]
1976年兵庫県神戸市生まれ。2007年大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PDなどを経て、現在、関西大学・滋賀短期大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浅香山三郎
16
近年の三好氏研究の進展の成果を、長慶の評伝といふ形で反映する。研究の進展において中心的な役割を果たす著者の手になるものだけに、三好政権が将軍や管領を推戴せずとも運営できる形をとつた政権であり、織田政権に先立つ性格を持つことを指摘したり、松永久秀のイメージを史料に基づき修正したりと、さすがに堅実。対立してゐた足利義輝の政策への当時の人人の不支持など、イメージ先行型だつた三好政権期の理解が改まるやうに思ふ。長慶とその兄弟たちの役割分担や、何故三好義継が後継者となつたか、あるいは堺の位置づけ等示唆に富む。2018/09/15
ほうすう
13
再読。第一章から第三章までで三好長慶の一生を描き、四章では三好政権の家臣団、五章で領国統治についてを記す。戦国期の畿内情勢はどうにも掴みづらく、長慶が台頭するまでの過程を把握するのに何度も読み返してしまった。離合集散の激しすぎるこの複雑怪奇さが長慶のすごさが一般に広く知られるにあたってネックなんだろうなぁとも思う。三好長慶を主として描いたものだが松永久秀が忠臣であるということを強調していたのも印象的。たしかに謀反癖のあるといわれる久秀だが天正五年の信長に対する離反が唯一の謀反という指摘は興味深い。2020/10/26
スプリント
12
室町時代末期は細川氏、畠山氏、斯波氏のお家騒動が常に発生していて人物の相関関係が入り乱れていて分かりにくい。 三好一族も国人衆をふくめてついたり離れたりを繰り返しているのでじっくり読まないとすぐに人間関係がわからなくなる。2022/11/03
叛逆のくりぃむ
11
楠木正成が赦免されるに當たり、三好長慶の力に與るところが大なることは興味深かつた。2014/12/12
Toska
6
新しく出た『三好一族』の予習として再読。天野氏の一般向け著作の中では最も早くに出た一冊だろうか。三好氏に対する評価は勿論、「天下人」信長に関する議論を深め、あるいは反論の形で足利将軍の再評価をもたらすなど、学界への刺激という意味でも功績が大きい研究者と思う。自らの研究対象をより広く知ってほしい、評価してほしいという熱意が文章にはっきり表れるタイプ。2021/10/25