内容説明
本書は、福祉国家の実証研究をベースとしながら、理論研究や歴史研究の成果を取り入れ、福祉国家という政治経済システムの存立構造、変容、超克の論理をトータルに把握するものである。
目次
第1章 福祉国家の存立構造
第2章 階級政治と権力資源動員論
第3章 リベラル・ソーシャル・デモクラシーの変質
第4章 文化政治の可能性
第5章 脱生産主義の構想
補論 権力論の再構成にむけて
著者等紹介
新川敏光[シンカワトシミツ]
1990年トロント大学大学院政治学研究科博士課程修了(Ph.D.in Political Science)。新潟大学教授、北海道大学教授を経て、京都大学大学院公共政策連携研究部・法学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
7
福祉国家は確かに総力戦体制の産物という側面を否定しがたいが、さりとて、理念的には戦争国家に対抗する形で民主主義政治の下で誕生したことは重要なポイントである。福祉国家において社会的保護は権利であり、それはシティズンシップの政治と不可分に結びついている。本書はこの立場から福祉国家を理念的に擁護しつつ、脱近代/再帰的近代における再編に理路を示そうとする。マルクスではなくウェーバーの階級論を接種することで、リスク社会論やアイデンティティ政治との理論的調和を図りつつ、最後にはベーシックインカム導入の重要性を説く。2023/08/05