内容説明
本書は、貧困研究で有名なイギリスのB.S.ロウントリーが20世紀前半に携わった一連の社会調査の全体像を明らかにする試みである。貧困と失業にあえぐ都市労働者の生活へのまなざしは、貧困についての省察を深め、ヨーク市で繰り返された貧困調査の結果はベヴァリッジ報告に反映された。貧困研究を根幹にして、多角的に展開していったB.S.ロウントリーの社会調査実践の意義を、社会政策などのマクロ的側面と、ロウントリー社工場労働者の生活改善というミクロ的側面の両面から明らかにする。
目次
調査と時代と人
第1部 ロウントリー家:産業資本家への成長(自治都市ヨークとクエーカー:16~19世紀前半;産業資本の成長:19世紀後半―ロウントリー家とココア製造業 ほか)
第2部 貧困研究から土地制度研究への展開(新自由主義と貧困問題:1900~1910年代;都市の貧困と農村の貧困:1910年代―土地問題調査へ ほか)
第3部 戦間期における社会調査の展開(産業不安と労働者:1919~1920年代前半;工場の再編成:1919~1920年代前半―「人間的要因」の追求 ほか)
第4部 貧困研究の新次元(第二次ヨーク貧困調査:1930年代後半―貧困と家族周期;「ベヴァリッジ報告」への貢献:1940年代後半 ほか)
著者等紹介
武田尚子[タケダナオコ]
お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会学)。現在、早稲田大学人間科学学術院教授。専門、地域社会学、都市社会学、質的調査方法、人口移動研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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