内容説明
「経常費は国王私財で賄うべし」という国王自活原則は、近世国家の形成に伴う経常費の膨張と価格革命による「国王私財」の減価によって遵守できなくなった。議会が経常費のための課税を頑なに拒否したため、国王は減価する「国王私財」の反転増収をはかる財政封建制を展開した。13世紀の憲法闘争期以降衰微していたフォレストが、この「国王私財」活用策のために俄に表舞台に立たされた。その財政的活用は、フォレスト法の指定解除と復活強化の両面政策という「冷笑的な法操作」によってなされた。庶子的収入の増収をはかるこの政策は、フォレスト制度の焼尽前の燃え盛りであり、長期議会によって処断され歴史の後景に再び退いて行く。
目次
第1部 「緑と肉」の保護区としてのフォレスト(フォレストの目的と管理体制;フォレスト村落と共同地・共同権)
第2部 フォレストの財政的活用の伝統的政策―フォレスト法を前提とする改革(王有林の売却と貸出、樹木販売、開拓地摘発;王領地改革と「国王代理人」)
第3部 フォレストの財政的活用の非伝統的政策(1)―フォレスト法解除による改革(フォレスト法解除による土地分割―フェクナム・フォレストの場合;フォレスト法解除と戦争債務)
第4部 フォレストの財政的活用の非伝統的政策(2)―フォレスト法の解除と復活の両面展開(フォレストの縮小と拡大の両面政策;チャールズ一世のフォレスト法復活とその示談)
第5部 フォレストの財政的活用と共同地・共同権の矛盾(フォレストの財政的活用と住民の共同権の対立―ディーン・フォレストの場合)
著者等紹介
酒井重喜[サカイシゲキ]
1949年兵庫県竜野市に生まれる。1971年京都大学経済学部卒業。1976年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。1991年経済学博士(京都大学)。現在、熊本学園大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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