内容説明
稀代の蕩児か、平和の使徒か、「バロン薩摩」の二つの真実。
目次
旅の人、社交の人
出生―家族
幼少時代―出発まで
ロンドン―紳士への道
ロンドンからパリ―音楽の都へ
パリ―芸術との恋の季節
気紛れ荘―フランス恋し
国際大学都市日本館―栄光の三年間
パリ往還―日本の文化を世界に
白銀の騎士―日本館こそわが生命
破れた着物―戦中戦後のフランスで
空の蒼い国
著者等紹介
小林茂[コバヤシシゲル]
1942年東京生まれ。早稲田大学(フランス文学)。フランス政府給費留学生として、パリ第三大学および第四大学に、フランス文学、応用言語学を学ぶ。現在、早稲田大学文学学術院教授。その間、NHKテレビ・フランス語講座講師、パリ国際大学都市日本館館長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆずこまめ
2
戦前・戦中・戦後を長年パリに暮らし、「稀代の蕩児」と呼ばれた男の光と影とは?芸術家たちと付き合い、派手な生活をした遊び人かと思いきや、驚くほどに孤独。芸術と文化に取り憑かれた人生です。こんな人生もあるのか、とめまいがするような気持ちになります。2010/11/17
呑司 ゛クリケット“苅岡
0
労せず得た資金を遊蕩と享楽で使い果たし、残ったのは学生会館の銘文のみ。脂濃い艶話で自らのイメージを作り 自身の家を持つこともなく世を去った。偉人ではなく、市井の人でもないことが自身の存在意義を見付けることを難しくしていたのだろう。日本に居たら、金がなければと仮定を想像しても意味はないかもしれないが、あの時代を自分が生きたならと思いを巡らすのも一興と思われる。2021/09/11