内容説明
本書は、著名な歴史家が一堂に会して行われた討論集会の結晶である。世界的な広い視野に立ち、「アメリカ帝国」を比較の視座から時間と空間の両面においてとらえ直す一方、「帝国」を支えるいくつかの大前提にもメスを入れ批判的に吟味している。そして、イラク戦争は「アメリカ帝国」の抱える諸問題の氷山の一角にすぎないと主張する。その意味で本書は、イラク戦争の性格付けとその歴史的位置、さらには近年の合衆国の対外行動とその論理を考えるうえで、日本の読者にとっても時宜を得た啓蒙書となっている。
目次
アメリカは帝国か?―二一世紀の辺境と平和の諸問題
第1部 文脈(絶頂期に立ち会って―正義の帝国か?;帝国の言葉;戦争を知らせる太鼓)
第2部 変容した関係(アメリカのヘゲモニーとヨーロッパの自立性、一九八九~二〇〇三年―イラク戦争を理解するための分析枠組み;反米主義と反欧州主義)
第3部 類比(イラクはニカラグアのようなアラブ国家ではない―中米とニューライトの台頭;文明化の使命に基づく進展?―フィリピン植民地化に見られるアメリカ例外主義の前提;占領―歴史からの警告;「帝国再来の」時期の日本とアメリカ)
第4部 未来(前進、リベラル兵士?―ブッシュのグランド・ストラティジーに見る十字軍の論理、何が問題なのか;きわめて興味深い帝国;『アメリカ帝国とは何か』)
著者等紹介
ガードナー,ロイド C.[ガードナー,ロイドC.][Gardner,Lloyd C.]
ラトガーズ大学で歴史学を担当するチャールズ・アンド・メリー・ビアード教授
ヤング,マリリン B.[ヤング,マリリンB.][Young,Marilyn B.]
ニューヨーク大学で歴史学を担当する教授
松田武[マツダタケシ]
1945年兵庫県姫路市生まれ。1979年米国ウィスコンシン大学大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
菅英輝[カンヒデキ]
1942年熊本県玉名市生まれ。1967年オレゴン大学政治学科卒業。B.A.in Political Science。1979年コネチカット大学大学院史学科博士課程単位取得退学。法学博士(一橋大学、1993年)。現在、西南女学院大学人文学部教授
藤本博[フジモトヒロシ]
1949年愛知県名古屋市生まれ。1982年明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。現在、南山大学外国語学部英米学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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