理想の教室
ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス

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  • サイズ B6判/ページ数 132p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784622083252
  • NDC分類 943
  • Cコード C1395

内容説明

ホフマンの『砂男』と乱歩の『押絵と旅する男』はともに、出来事が主人公の妄想なのか現実なのか判然としない、読者を不安に陥れる物語です。人形と望遠鏡―この共通項に、どんな物語の罠が仕掛けられているのでしょうか。フロイトの精神分析も引きながら、狂気とエロスの妖しい関係を探る奇想天外な小説指南の登場です。

目次

第1回 E.T.A.ホフマン『砂男』(あやしい行商人;晴雨計;「眼」の系列について ほか)
第2回 江戸川乱歩『押絵と旅する男』(ふたたび狂気と「レンズ仕掛け」との観念連合について;「覗きからくり」;二様の「覗き」 ほか)
第3回 照合・比較・敷衍(フロイトの定言命題「コッポラはコッペリウスである」;フロイトの矛盾;ふたたび「眼」の系列について ほか)

著者等紹介

平野嘉彦[ヒラノヨシヒコ]
1944年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。東京大学大学院教授。専門はドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

timeturner

8
人形と光学器械というアイテムを軸に、ホフマンと乱歩それぞれの意図をフロイトの分析も援用しながら解釈するというマニアックかつ牽強付会な内容。レンズつながりでオブライエンの「金剛石のレンズ」も混ぜてほしかったな。人形じゃないから駄目なのか。2018/08/01

牧丘一郎

2
ホフマンの『砂男』と乱歩の『押絵と旅する男』とを、光学器械、人形という視点、またはパースペクティブや〈近代〉という視点から書いた、ある程度刺激的な論文である。 そして、メガネというメディア、科学技術が行う、現実の変容、または見えないものの出現、イメージの世界、という物を、小説作品の中に嗅ぎつけるその腕もなかなかだが、それより何より、ホフマンと乱歩の小説を改めて面白いと、これを読んでいたら思える感じがある。 それはやはり平野氏の腕というよりかは、作品自体の力なのかも知れない。2011/07/04

茶器

1
レンズ越しに観ることで変質するのは人形ではなく、背中合わせに反対方向へ向かっていった2人の主人公たち。主軸はフロイトだからエロス前提。「押絵と旅する男」の弟と兄の輪郭に長年もやもやしていたので、ちよっとだけすっきりしました。類似性。2019/10/15

ともゑ

0
砂男も押絵と旅する男も一応既読。どちらも不気味で人間でないものに魅せられた男の話で光学器械がキーワードになっている…というのはこの本を読むまであまり意識してなかった。こうして比較した評論を読むと新たな発見があったり。で、エロスとは。なんか良くも悪くもフロイトの夢診断や精神分析な感じ。連想というか。そうなの?こじ付け過ぎじゃない?とはいえ、なかなか興味深い評論だった。2015/04/04

そーすけ

0
164*専門用語や、色んな概念が出てきたりするので、難しい。江戸川乱歩の文体、やっぱり好きだなぁ。男根と睾丸。<近代>を直視して狂ってしまったナターナエルと、<近代>に背を向け<前近代>の「押し絵」の世界に入り込んだ兄。この対比が面白かった。2014/09/06

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