出版社内容情報
幸福だったとあなたは言えますか?地下鉄の暗闇に灯る戦後日本を生き抜いた男の過去。名手が粋を尽くした心揺さぶる〈奇蹟〉
内容説明
浅田文学の新たなる傑作、誕生―。定年の日に倒れた男の“幸福”とは。心揺さぶる、愛と真実の物語。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞。以降、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で大佛次郎賞を、それぞれ受賞。2015年紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
413
浅田次郎は、新作をコンスタントに読み続けている作家です。本書は、メトロ・ノスタルジー・ファンタジーといった感じで、著者得意の人情噺なのですが、新聞小説ということもあり、少し冗長でした。名作『地下鉄(メトロ)に乗って』を超える作品を書くのは難しいのかも知れません。2017/12/16
遥かなる想い
307
ひどくリリカルで切ない物語だった。 定年の日に倒れた竹脇正一をめぐる話だが、 登場人物の誰もが いさぎよく肝が据わっているのが心地よい。人は終わりの瞬間に 何を 見るのだろうか? 地下鉄で44年間通った直後に 倒れた 竹脇の見た夢は…あの頃の僕たちは 死の床から どう見えるのか… かけがいのない記憶が 断片的に 蘇る、とてもステキなお話だった。2018/05/15
うっちー
269
浅田さんだけにもう少し泣かせて欲しかった2018/01/16
いつでも母さん
248
ICUから個室に戻った父は何故自分がここにいるのか、今日は何月何日なのか分からなかった・・が、とにかく戻ってきた。そんな数年前を思い出し切ない読書になった。戦争が終わってあの頃、『竹脇正一』のような人間は沢山いただろう。幸せとは何かを思う今作。それぞれの立場になって共感してしまう。今頃の読書だが、沁みました。2019/02/04
KAZOO
191
浅田さんお得意のじんわりさせてくれる物語です。毎日新聞連載と書いてありますが、新聞ではこの作品の良さがあまり伝わってこないのではないかと感じられました。「角筈にて」や映画化もされた「地下鉄に乗って」などのイメージを思い出させてくれます。一人のあるサラリーマンの生涯を関係者の視点などから様々に見せてくれる映像向きの作品だと感じました。2018/05/01