出版社内容情報
第一回おいしい文学賞大賞受賞作!選考委員の小川糸さんが選んだ、美味しいデビュー作です。
内容説明
山田家の父親は三年前に事故で他界。会社勤めの母親と、幼稚園に通う三つ子の妹たちの面倒を見るのが高校1年生の龍一朗の役目。もともと料理は好きだけど…。それぞれつまずいたり、悩んだり、助けられたりしながら日々を刻んでいく山田家と龍一朗を、こまやかで確かな筆致で描いた青春と成長の物語。第1回おいしい文学賞受賞作。
著者等紹介
白石睦月[シライシムツキ]
1982年、山口県生まれ。山口大学人文学部卒。美術史専攻。10年在住した群馬県で、独学で小説を書きはじめ、おもに長編を執筆。短編「母さんは料理がへたすぎる」で第1回「おいしい文学賞」を受賞し、『母さんは料理がへたすぎる』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よつば🍀
119
第1回おいしい文学賞受賞作品。「母さんは料理がへたすぎる」「ないないづくしの女王さま」「待ちぼうけの幸せ」「プレゼント」「ウソつきたちの恋」「春が生まれる」「母さんの料理がへたすぎて」7話収録の連作短編集。主人公は父親亡き後、会社勤めの母親と三つ子の妹達の面倒を見る15歳の山田龍一朗。料理センスゼロの母に代わり毎日の食事作りを、いとも軽やかに行う龍一朗が微笑ましく三つ子の妹(透・蛍・渉)も愛くるしい。友情に恋、進路と悩みはあれど、相手を思い遣りながら毎日を懸命に過ごす家族達に癒しを貰えるハートフルな物語。2020/02/12
モルク
107
高校生の龍一郎は、主夫で料理上手な父を亡くしてから、母と幼い三つ子の妹たちのために家事をこなす。料理は苦手だが証券会社でバリバリ働く母は息子への依存やハチャメチャなところもあるけど憎めない。とにかく龍一郎がいい子すぎる。料理が好きという自分を隠してみたり、親友たちとの関係、そして淡い恋心…いいなぁ、全て応援したくなる。三つ子ちゃんたちはかわいいが、7才の言葉として大人すぎて違和感がある。このざわつき以外は登場人物がみな魅力的で、ファンタジーもまじり素敵なお話。2020/06/18
ゆみねこ
96
白石睦月さん初読み。第1回おいしい文学賞受賞作。父を亡くした山田家の長男・龍一郎は壊滅的に料理下手の母に代わって家族の食事作りを担う。三つ子の妹、透・蛍・渉が個性的で可愛い。料理を軸にした家族の物語。龍一郎くんのような息子が欲しいです(笑)2020/05/23
yuyu
82
いい子だ〜、いい子しか登場しない。こんないい子ばかりだったら、日本の将来は明るい!いや、ある意味怖いかな。父を亡くし、タイトル通り「料理がへたすぎる」母に代わり、主婦のように仕切る龍一朗。三つ子の姉妹達も可愛くて、そして、小学一年生でかなりこわくさい(富山弁で生意気?)笑。亡くなったお父さんも登場し、ファンタジーの要素もあり、笑いあり、ちょっぴり涙あり。続編も希望!中高校生にも読んでほしい一冊。2020/05/08
ぶんこ
68
16歳の龍一朗と5歳の三つ子を遺して交通事故で亡くなった主夫の武蔵。母はキャリアウーマンで、恐ろしいまでの料理下手。必然的に山田家の家事全般は龍一朗がになう。少々ガサツで天真爛漫な母ですが、夫を亡くした喪失感はあったのですね。その部分は読んでいて切なかった。救いは龍一朗君が料理好きなこと。三つ子ちゃんのなかでは末っ子の渉ちゃんがお気に入り。1人だけ天国の入り口にいるお父さんに会えて、美味しいご飯も食べられて、最高と思いつつ、お父さんとの本当のお別れも経験しました。学友やご近所さんにも恵まれた山田家でした。2021/04/15