内容説明
石巻市街から牡鹿半島の漁村まで。変わり果てた被災地を巡り、人々から託された「命の言葉」をつづるノンフィクション。
目次
「卒業証書」は残った―石巻市・門脇小学校の卒業式
南浜町の町内会長が語る「津波が奪ったもの」
焼け跡にうまれた「こども避難所クラブ」
牡鹿半島―小さな漁村の孤立
女川町―破片すら見つからず―
山の脇から、津波は突然やって来た
高台の寺院で―日本登山医学会のボランティア医療団
「黒い山が動いてきた」―道路寸断がもたらしたもの
歴史ある「宮城交通」―会社の解散を一度は決意
大衆食堂「味楽」のお母さんが思うこと
再び、調理器具を拾い集めて
石巻赤十字病院にて
炊き出しの行列にも並べない人たち NPOの活躍
シーツをつないで屋根をつたった「恵愛病院」
せめて一杯のコーヒーを…
著者等紹介
池上正樹[イケガミマサキ]
1962年神奈川生まれ。日本大学新聞学科卒業後、通信社勤務を経て、フリージャーナリストとして活躍。新聞・週刊誌などで、主に「心」「住環境」「温泉」をテーマに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てんちゃん
32
東日本大震災の被災地、石巻市の3月23日から4月28日までを現地で取材した記録。その頃、被災地の混沌とした状況をテレビでみていたことを思い出した。1000年に一度の大震災。そのとき何が起こって人々がどう感じどう動いたのか、記録として残すことはとても大切なことだと思う。東日本大震災に関連したルポは数多く出版されているけれど、何冊の本が出版されても足りることはないと思う。様々な視点から書かれた震災の記録が、後世まで時を越えて残って、語り継がれて欲しいと思う。2017/03/22
百太
12
表紙は、昨年、紅白歌合戦の時 長渕剛が歌ってた場所です。池上正樹の紳士な目線で辛い体験が優しく前向きに書かれています。当時、現地での情報格差、避難所の格差を書いてくれていたのを称賛します。2012/09/11
ぶんこ
6
赤十字病院のマスコミ対応窓口となられた阿部課長さんが「テレビをみているだけでは、石巻の惨状は、なかなか伝わりきれません。一般的には、被災地を見に行くことに批判があるのもわかっています。ただ、あえて過激な言い方をするのであれば、観光でもいいからツアーを組んででも、石巻の現状を直接見て、感じとってほしいという
フラちゃん
4
読みがら当時の衝撃的だった映像が目に浮かぶ。震災直後の取材だからこそ、辛さ悲しさ苦しさが全面に出ていて胸が詰まる。二週間で未曾有の災害から立ち直ろうとする石巻の人たちの強さに感動。門脇小学校の卒業式が泣けたー。2020/08/20
rigmarole
3
印象度B+。3.11の2~7週間後に石巻各所を回って被災者の証言を集め、生活や仕事の様子を取材したもの。私もこの3月に行ったので、位置関係や各地区の光景など、地理的なイメージが湧きやすかったです。震災から間もない頃の取材とあって、再起に向けて始動した人あり、手を付けられないでいる人あり。選択的に収録したのかもしれませんが、皆さん、前向きであることが印象的です。取材を受けた方々の現在の状況が気になります。感動モノではないですが、変な感情移入がないので受け入れやすいです。地に足の着いたドキュメンタリーです。2013/06/30