出版社内容情報
社会民主主義モデルの理論的検討をもとに、戦後日本政治の社会民主主義とその不在を分析。補論「新自由主義を越えて」を増補し、脱国民国家時代の社会民主主義戦略の可能性を探る。
目次
序章 課題と視角
第1章 社会民主主義モデル再訪
第2章 五五年体制下の日本社会党―抵抗政党の意義と限界
第3章 階級政治からみた五五年体制―階級交叉連合と企業主義
第4章 階級的労働運動の盛衰と五五年体制の変容―国労を事例として
第5章 社会党における現実政党化とその陥穽
終章 総括と展望
補論 新自由主義を超えて
著者等紹介
新川敏光[シンカワトシミツ]
1956年北海道に生まれる。1980年東北大学法学部卒業。現在、京都大学大学院法学研究科教授・政治学博士(トロント大学)。専攻は政治学(労働政治、福祉国家論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ア
3
スウェーデン政治を参照してモデルを組み立てつつ、日本において社会民主主義がなぜ成長・拡大しなかったのか、日本社会党はなぜうまくいかなかったのかを論じる。大変勉強になった。労組からの影響に注目するのが特徴の一つ。2024/04/01
Francis
1
再読。戦闘的な公務員労組主体の総評と企業主義的な民間労組の分裂が日本社会党の現実化を阻み、高度成長の終焉に伴うナショナルセンター連合の結成により社会党の現実化がようやく進んだものの、挫折した日本の社会民主主義の歩みを分析。グローバル化経済の進展により増加しつつある移民による社会の変動の動きに著者は希望を見いだそうとしている。専門的かつ難しいけれど、日本での社会民主主義の過去の歩みを振り返り、今後どう発展させていくか考える上で非常にためになる本だと思う。2013/12/21
鳳
0
読了。 社会党がなぜ抵抗政党化したか、そしてなぜ現実政党化に失敗したのかということについて考察した本である。 社会党を護憲平和主義vs国際現実主義、マルクス主義vs社会民主主義の2つの軸でとらえる。本書では、社会党の支持基盤たる総評に注目し、労使間、労労間対立についての歴史が述べられるなど、資源動員論の立場から上述の問いを紐解く。また、補論においてグローバル化の中での社民主義について考察がなされており、日本における過去と未来での社会民主主義のあり方を捉えようとする良著と言えよう。 2019/02/21