出版社内容情報
〈家〉と〈共同体〉というキーワードによって近代以前の経済的な営みを読み解き,人と人との関係,人と自然との関係を経済史の視点から問い直す「共同体論」の試み。
内容説明
「家」と「共同体」というキーワードによって近代以前の経済的な営みを読み解きながら、人と人との関係、人と自然との関係を経済史の視点から問い直す試み。柳田国男、有賀喜左衛門、中村吉治、大塚久雄等の共同体論を整理・再検討し、日欧比較研究への道を探る。
目次
序 いま、なぜ共同体なのか
第1章 柳田国男の共同体論
第2章 日本における村落共同体の発見
第3章 大塚久雄の共同体論
第4章 高橋幸八郎と住谷一彦の共同体論
第5章 商品経済の進展と漁村共同体の変遷
第6章 日本における農村共同体の解体過程
第7章 イギリスの農村共同体
第8章 イギリスにおける村と共同体
第9章 ヨーロッパの商人共同体
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
期待したほど「比較」は行われてない。日欧の事例を並べてやるから自分で比較しろってことか。当り前だけど、経済史家の視点から見た共同体論だから、政治イデオロギーとしての共同体観とはかなり違う。でも、編者たちの関心は、共同体の本質を解体しつつある「家」とか「村」から切り離して、互酬システムとして捉えなおし、現代もしくは将来の経済システムにおいて「共同体」原理を手段的に組み込んでいくというところにあるらしい。その意味では「イエ社会」論にも通ずるが、特定の文化に押しこめられない共同体原理を模索しようという話らしい。2019/02/25