内容説明
李王家はなぜつくられ、維持されたのか?併合と同時に天皇は韓国皇室のために特殊な身分を創設した。朝鮮統治の安定と大義名分をかけて、その処遇に苦慮した日本政府や官僚の状況を、膨大な資料から鮮やかに読みとく。
目次
序章 見過ごされた王公族
第1章 韓国併合と王公族の創設
第2章 梨本宮方子の婚嫁計画と王公族の法的地位
第3章 李太王の国葬と三・一運動
第4章 李王の国葬と朝鮮古礼の尊重
第5章 李〓(こう)の散財と公家存続をめぐる葛藤
第6章 王公家軌範の制定と王公族の範囲
第7章 朝鮮貴族の家政破綻と天皇の体面
著者等紹介
新城道彦[シンジョウミチヒコ]
1978年愛知県西尾市生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府(国際社会文化)博士後期課程単位取得退学。博士(比較社会文化)。金沢大学経済学部卒。九州大学韓国研究センター講師(研究機関研究員)を経て、現在は九州大学韓国研究センター助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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陽香
2
201108152017/04/24
秋津
0
明治43(1910)年の韓国併合により、大韓帝国が消滅したことに伴って、かつての韓国皇室、その近臣、そして朝鮮人に対し、大日本帝国がどうふるまってきたかについての考察を行った書。 従来の研究においては、「韓国併合ニ関スル条約」の合法性・不法性を問うことに重点が置かれ、「王公族に関する研究は少なく、いまだ十分に議論が尽くされたとは言いがた」(序章)かったという問題提起を前提とし、旧韓国皇室は(日本の)皇室と同じ扱いとするのか否か、「大韓帝国皇帝」の称号を廃した後はどのような尊称が与えられるのか、朝鮮独立の機2013/01/06
富士さん
0
李王家のお話も然ることながら、ワタシとしては朝鮮貴族の話を知りたくて読んだので、そこがささやかなのが不満ではありました。でも、歴史の隙間に入り込んであまり積極的に取り上げられないこれらの話を取り上げているこの本は、貴重な研究です。 日本政府がここまで李王家と朝鮮貴族たちを過保護にしていたとは知りませんでした。それは何か違うんじゃないか感をものすごく醸し出していて、東南アジアの不良国家を水膨れさせて体面を保っていたアメリカを思わせるものがありました。2012/12/13