出版社内容情報
本書はジェンダーを切り口に経済理論を再検討し、社会・経済の変動を理論的、実証的かつ歴史的に捉える視点を提示する
内容説明
1960年代末以降の「第二派フェミニズム」と呼ばれる世界規模での女性解放思想は、その理論的枠組みにおいても、対象とする専門領域においても多様な流れを生み出したが、ジェンダーという共通の概念を発見した。そして、1980年代、1990年代以降の市場経済化の進展とグローバリゼーションのもとでは、ジェンダーを分析軸にすえた新たな知の枠組みが模索されている。本書は、主流派を構成する新古典派経済学の理論、さらにリベラリズムの思想をジェンダーの視点から理論的に検討し、同時に、市場主義化がもたらす新たなジェンダー問題を家族・社会政策、開発経済学、社会思想、人類学などの諸領域から問い返すことで、社会・経済の変動を理論的、実証的かつ歴史的にとらえる方法を提示する。
目次
第1部 理論と方法(ジェンダーと「経済学批判」―ケアの経済学に向けて;フェミニズムが指し示すもの―性・死・私的なもの ほか)
第2部 家族政策とケア(児童手当の意義とは何か―少子化論議の陥穽;介護の隙間とケア労働者の国際移動 ほか)
第3部 開発とジェンダー(人間開発パラダイム―A.センのケイパビリティ概念を操作化する;東南アジアの開発とジェンダー ほか)
第4部 ジェンダーの比較文化(「労働」神話とジェンダー―偽なる問題の客観的な“体”としての経済学;サモア社会における女性の仕事の復興―市場経済下のジェンダー役割分担の保守と変容 ほか)
著者等紹介
原伸子[ハラノブコ]
法政大学経済学部教授
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