出版社内容情報
日本の植民地統治が終わると、台湾はそれまでの「国語」を失い、図書市場を新たに構築せざるを得なくなった。国民党政権から反共文芸を推奨されるなか、巷の貸本屋で読まれたものは何であったか。作家や作品に加え、政策、市場、メディア、読者の多角的な視点を加えた全7章。文壇から追放された商業出版のしたたかな戦略と共に、恋愛小説がジャンルとして認知される過程を描き出す。
内容説明
日本の植民地統治から解放後、台湾の人びとは新たな言語で何を読んだのか。従来の文学史をエンターテインメントの視点から捉えなおし、政策、市場、メディアなど多角的に分析する。
目次
序章 台湾文学史における一九五〇年代
第1章 戦後初期の文化状況
第2章 禁書政策と中国語図書市場の形成
第3章 戦後初期の言語転換と台湾人読者
第4章 新聞「副刊」と通俗小説の勃興
第5章 一九五〇年代初期における文化政策と雑誌の発展
第6章 反共文壇の分化と通俗図書市場の成立
第7章 通俗恋愛小説がジャンルとして確立するまで
終章 通俗出版が彩った一九五〇年代の台湾文学
著者等紹介
張文菁[チョウブンセイ]
1970年台湾台南市生まれ。慶應義塾大学哲学系卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻修士課程、早稲田大学大学院文学研究科中国語・中国文学専攻課程修了。博士(文学・論文)。現在、愛知県立大学外国語学部准教授。専門は中国語圏通俗小説、台湾文学、中国近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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