出版社内容情報
ロチの日本三部作を記号論的手法で読み解き,それらの作品がいずれも凋落的エートスに貫かれているさまを浮彫にしつつ,19世紀末の異国趣味文学の秘密をさぐる。
内容説明
19世紀末ヨーロッパの虚無と倦怠を背負い、世界各地を歴訪して独特の異国趣味文学を創出したロチ―その日本三部作を記号論的手法で読みなおし、作品、作家、土地(長崎)がいずれも凋落的なエートスに貫かれているさまを浮彫にする。
目次
第1章 珍妙さの美学―『お菊さん』(献辞のレトリック;細部―その慎みと頑迷さ;脱線―不謹慎な統辞 ほか)
第2章 交通と落下―『秋の日本』(「ジャポヌリ」とはなにか;交通について;落下について)
第3章 中立論、あるいは凋落について―『お梅が三度目の春』(凋落;中立のフィギュール)
著者等紹介
遠藤文彦[エンドウフミヒコ]
1960年宮城県生まれ。東北大学文学部文学研究科を経てパリ第7大学にて学位取得。19~20世紀フランス文学専攻。現在、長崎大学経済学部教授。著書に『ロラン・バルト 記号と倫理』(近代文芸社)。訳書にL.フェリー,A.ルノー他『反ニーチェ』(法政大学出版局)
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