出版社内容情報
《ともに生きること》を学びとるために自らの観た東南アジア社会の調査日誌を公開し、「海域」の歴史に関連する書評と研究史を掲載。
内容説明
周期性があって記録に残すことによって安定した生活をめざす陸域の考えは、例外の連続で、その場その場で臨機応変に対処しなければならない海域世界には通用しない。だから、海域世界に暮らす人びとは、記録し、文献に残すことを重視しない。では、フィールドに行って、見て、聞いたことをいかに書き、歴史研究と結びつけていくのか。海域世界の歴史研究は、文献資料が乏しいだけに、学際的研究が必要な分野だ。本書は、著者の見た海域世界にかんする調査日誌の一部を写真とともに公開し、あわせて海域の歴史がこれまでどのように論じられてきたかについての研究史を整理することで、文献中心の歴史研究とフィールド中心の地域研究の橋渡しを試みる。
目次
1 調査日誌―香料諸島、スラウェシ島北部
2 書評空間(臨床の知を考える;海域世界を考える;森を考える;政治・経済を考える;その他)
3 歴史空間としての海域世界(自律した歴史空間としての海域世界への道;戦前・戦中の東西交渉史、海外発展史;戦後の海洋史観;可視空間と不可視空間)
著者等紹介
早瀬晋三[ハヤセシンゾウ]
1955年岡山県生まれ。東京大学東洋史学科卒業。西豪州マードック大学Ph.D.。現在大阪市立大学教授。主要著書『海域イスラーム社会の歴史―ミンダナオ・エスノヒストリー』(岩波書店、2003年、第20回「大平正芳記念賞」受賞。英語版:Mindanao Ethnohistory beyond Nations,Quezon City:Ateneo de Manila University Press,2007)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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