出版社内容情報
古代の祭祀、中世寺院における修行、近世の都市文化、近代の学校教育における修身など、それぞれの時代に掃除はどのような意味をもっていたか。掃除の歴史を道具と精神性の視点から概観するとともに、時代を超えて用いられてきた箒(ほうき)の名称と分類、素材や産地・製法を精査し、仕事、芸道、習俗の側面から日本人の暮らしとの関わりを明らかにする。
内容説明
古代から現代まで、掃除道具の歴史を概観するとともに、時代を超えて用いられてきた箒をめぐって、名称と分類、素材や産地・製法を精査し、仕事や芸道との関連、さらには習俗の側面におよぶ。
目次
第1章 掃除道具の歴史(古代―棒ぞうきんの時代;中世―掃除は修行;近世―ひろがる掃除;近代―衛生と掃除;現代―掃除道具の革命的変化)
第2章 箒(ほうき)(箒の名称と分類;箒の素材;暮らしの中の箒)
著者等紹介
小泉和子[コイズミカズコ]
1933年東京生まれ。登録文化財昭和のくらし博物館館長・家具道具室内史学会会長・工学博士。専門は家具道具室内史と生活史
渡辺由美子[ワタナベユミコ]
1963年東京生まれ。ライター。東北大学文学部を卒業後、『月刊社会運動』(社会運動研究センター:当時)編集部勤務などを経てフリーランスに。家具道具室内史学会会員。昭和のくらし博物館企画展研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hirayama46
2
300ページくらいの本ですが、掃除道具について手広く紹介している本ではなく、箒に関する章が全体の2/3以上になっていて、力のこもった文章を読むことができます。日本最古の箒である「子日目利箒」にまつわる様々な誤った認識と、考えられる仮説を提示した部分や、定義の曖昧な「蜀黍箒」の考察など、初心者向けから遠く離れたディープな内容も多く、箒に関する深い知識が得たい方は必読と言えると思います。2023/12/19
青木
1
ふと手にとってみた。箒で「掃く」という言葉は「祓う」に通ずる。という掴みで誘われた箒の世界。奥深いです。元は祭祀具であったというのも意外ではあるものの、妙に合点がいく。印象的なのは正倉院に安置されている国内最古の箒の一つ「ネノヒノメトギホウキ」のくだり。「メトギ」が何を意味するのかはっきりしていないらしく、これについて延々と考察が展開していき、読者置いてけぼりが凄まじい。いつまで話すんだ、と逆に引き込まれます。皮肉ではなく、本心でそう思いました。読了後、個人的にはちょっと良い箒が欲しくなりました。2020/07/29