出版社内容情報
栽培,加工,流通,利用の実際を現地に探訪して紅花とかかわってきた人々からの聞き書きを集成し,忘れられた〈紅花文化〉を復元しつつその豊かな味わいを見直す。
内容説明
栽培から加工、流通、利用までの実際を現地に探訪し、紅花とかかわってきた人人からの聞き書きを集成、藍と並ぶ代表的染料植物として、また、顔料、薬用、食用等にも幅広く利用された紅花の魅力を語り、忘れられた「紅花文化」を探る。
目次
芭蕉は『奥の細道』のどこで紅花を見たのか
紅花のルーツを辿る
古代の紅花栽培地と『延喜式』に見る染色技法
真夏に紅花を摘み、厳寒に染める紅
絵絣に紅の色が映えて
休業宣言した紅花紬
十二単の紅袴
たった一軒で、烏梅の里を守る
武州紅花の足跡を辿って
琉球紅型に臙脂が使われていた頃〔ほか〕
著者等紹介
竹内淳子[タケウチジュンコ]
東京に生まれる。大妻女子専門学校(現・大妻女子大学)卒業。同校助手となり、岩松マス先生(被服学)、瀬川清子先生(民俗学)に師事。日本民俗学会会員
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感想・レビュー
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いぬかいつまき
1
山形県の県花であり、夏になると可憐な紅と黄に咲き誇る紅花。茎の先端に咲く花を摘み取って染色に用いることから「末摘花」の雅名で呼ばれ、子供の娯楽である「花一匁」の花も紅花のことなのだとか。 そんな隆盛を誇った紅花も、明治以降は海外産の紅花の進出や化学染料の普及により衰退の一途を辿る。本書には作者の取材の形で数多くの紅花関係者が登場するが、そのほとんどが高齢で中には家業を断念した人もいる。今では観光用や一部の好事家の需要に応えるのみ。花のいのちは短いと言うが、紅花も近い将来やがて消えゆく運命にあるのだろうか。2020/11/12