出版社内容情報
人類の迷蒙の二大源泉たる無知と恐怖を取り除き,同胞の幸福に貢献すべく,大いなる全体=〈自然〉の下での人間の目覚めと復権を説いた,フランス啓蒙思想の精華。
内容説明
「人間が不幸なのは自然を誤解していたからにすぎない」と説き起こす本書は、人間精神を冒す偏見・迷信・幻影をいかに克服すべきかについて諄々と述べる。すなわち、知的能力は感覚に由来すること、死と来世への恐怖心を払拭すべきこと、徳が幸福の源泉であること、自然に基づく観念こそが人間の諸悪の療薬であること、等々。18世紀フランス啓蒙思想の雄、ドルバックは、人類の迷蒙の二大源泉たる無知と恐怖を取り除き、同胞の幸福に貢献すべく、自然という大いなる全体の起源と運動を探求し、理性的人間のありようを大胆に追究した。
目次
自然
運動とその起源
物質、その異なる配分と様々な運動、あるいは自然の歩み
自然のあらゆる存在に共通の運動法則、引力と析力、惰力、必然性
秩序と無秩序、知性、偶然
人間、物理的人間と精神的人間の区別、その起源
魂と精神性の体系
知的能力、あらゆる知的能力は感覚機能に由来する
知的能力の多様性、それらは道徳的性質と同様に物理的原因に依存する。社会性、道徳、政治の自然的原理
私たちの魂はそれ自体から観念を引き出さない、本有観念は存在しない〔ほか〕