目次
第1編 基礎となる人類学(犠牲のメカニズム、つまり宗教的なものの基礎;文化と諸制度の発生;人間化の過程;神話、偽装された基礎づくりのリンチ;迫害のテキスト)
第2編 旧約・新約聖書のエクリチュール(世の初めから隠されていること;福音書のテクストの非供犠的な読み;供犠的な読みと歴史的なキリスト教;ヘラクレイトスの「ロゴス」とヨハネの「ロゴス」)
第3編 個人対個人の心理学(模倣性の欲望;対象のない欲望;模倣と性衝動;精神分析的神話学;つまずきのかなた)
著者等紹介
ジラール,ルネ[ジラール,ルネ] [Girard,Ren´e]
1923年南フランスのアヴィニョンに生まれる。パリの古文書学院、アメリカのインディアナ大学で学業を修め、同大学をはじめジョンズ・ホプキンズ大学、ニューヨーク州立大学などを経て1981年からスタンフォード大学のフランス語学・文学・文明の教授。独自の模倣理論・三角形的欲望の理論・暴力理論をもとに、文学・社会学などの分野で注目すべき評論を行なっている
小池健男[コイケタケオ]
1926‐2012。東京教育大学仏文科卒業。18世紀フランス文学専攻。筑波大学教授を経て大妻女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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またの名
10
犯罪者ではないが犯罪臭の漂うズル賢い魅惑的な自信満々の少女や女性を自己充足した欲望とし、自分以外の対象に向かう欲望は前者に惹きつけられエネルギーを搾取されるとか述べ「自分も後者」と性癖を書き加えたフロイトの論文に、やたらこだわる対談。精神分析とは異なる模倣に基づいた欲望理論を説明し、身代わりの犠牲者をリンチして共同体が一致団結する暴力の論理について縦横無尽に展開。しかし段々とキリスト教だけは暴力の真実を暴いた偉大な宗教などと熱を帯びて語ってヤバイ。陰謀論ぽい響きからしてすでにアレな題名は、聖書の一節から。2021/07/30
犬養三千代
4
難しい。対談形式なので余計に分かりにくかった。 もう何度か読まないといけないなと思う。2019/09/10
鴨長石
1
対談形式だと難解な内容を対談相手が平易に解きほぐすというのが通常だが、本書は難解なままである。「世の初め」には模倣の欲望のようなものがあり、それを封じるためにスケープゴートをつくることによって社会を安定させた、というのがどうやら主旨のようだ。しきりに供犠(=生贄)ではなく身代わりのヤギと強調していて初めは違いがわからなかったが、神(=上)に捧げるのではなく、下界への追放(迫害)ということらしい。それにしても「世の初め」という大風呂敷を広げるなら西欧だけではなく東洋の神話等も扱ってほしかった。2020/06/28