目次
第1部 芸術経験を手がかりとした真理問題の展開(美学的次元の乗り越え;芸術作品の存在論およびその解釈学的意味)
著者等紹介
ガダマー,ハンス=ゲオルク[ガダマー,ハンスゲオルク][Gadamer,Hans‐Georg]
1900年マールブルク生まれの現代ドイツを代表する哲学者。マールブルク大学などで学び、1922年同大学でナートルプに師事し博士学位を、28年ハイデガーのもとで教授資格を取得。68年にハイデルベルク大学を退官するまで、マールブルク、ライプツィヒ、フランクフルト各大学の哲学教授を務め、占領下のライプツィヒ大学では学長の要職にあった。ハイデガー哲学の影響のもと、自身の古代哲学・近代哲学研究を生かし、主著『真理と方法』でロマン主義的・歴史主義的な解釈学を超える存在論的な“哲学的解釈学”を確立し現代思想界に多大な影響をあたえた。2002年3月ハイデルベルクにて死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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singoito2
10
ハイデガーのお弟子筋と言うことで結構、強面かと思ったけど、思いのほか優男で一安心。「美」についての理解が主観主義に変貌する歩みを辿る第1章に続いて第2章は「すべての遊びは遊ばれること」P152という芸術理解で始まり、悲劇、絵画、建築、テキストと様々な分野を一巡した後、「美学は解釈学へと解消されなければならない」P241という地点にたどり着いて第1巻はおわり。(キートン山田さんの声で)第2巻へ続く~~2023/06/11
てれまこし
10
精神科学(または人文科学)は科学的な意味での真理要求を行なえない。これが一般に受け入れられるようになって人文的教養の意味もまた不明になった。文系学問はむしろ美的判断の対象で、芸術家のような天才の直観に依拠することとなった。そして芸術と同じく、社会的・政治的なものから切り離され自らに閉じこもった。眼前に並べられた天才の精神を美術品のように鑑賞するのが人文的教養みたいになった。この転機になったのがカントの判断力批判で、共通感覚という本来は社会的・政治的な概念が主観化され美的判断という狭い領域に押し込められた。2021/08/31