出版社内容情報
自他共に認める大のワグネリアンが40年に及ぶ遍歴の折々に綴ったワーグナー讃歌。その底知れぬ魅力と問題性を,ニーチェやマンらとの関係も含め多彩に描き出す。
内容説明
バイロイト祝祭劇場のオーケストラ・ボックス、コントラバスの林立する奈落まで赴いた自他ともに許す大のワグネリアンが、40年に及ぶ遍歴の折々に綴ったワーグナー傾聴録。「ワーグナーの残したテクストを丹念に読み抜いて、在来の研究者が読み落とした箇所について発見を重ねることで方向を見出した」という、微細な関連の網目を辿る探究は、希代の総合芸術家の軌跡と精神の深層に分け入り、底知れぬ魅力とニーチェやマンらとの関係も含む豊かな問題性を、縦横自在かつ多彩に考察する。
目次
ワーグナーの現代性
ユートピアンの軌跡―楽劇への道
エルザの夢
音楽と革命―ワーグナーとバクーニン
『ジークフリート』―森のロマン主義とアイデンティティ
両性具有のワーグナー
神々の黄昏と現代
『トリスタンとイゾルデ』―光と闇
ナショナリスト?ワーグナー
『パルジファル』をめぐって〔ほか〕