内容説明
倫理学的推論の基本的な諸原理を明らかにした『倫理学原理』(1903)によって欧米の倫理学界に大反響を呼んだムーアが、さらにその理論を発展させ自己の立場を基礎づけた代表作。「正しい行為」とは何か。あらゆる可能的行為のなかでもっとも多くの“善”を存在せしめる行為、つまり、「目的としての善」ではなく「手段としての善」を実現できる行為として説き、通常の功利主義の根拠を批判的に検討し独自の理想主義的功利主義を確立することによって、日常生活に一つの生き方を示した古典。
目次
功利主義
道徳的判断の客観性
正・不正の吟味の結論
自由意志
内在的価値
著者等紹介
ムーア,ジョージ・エドワード[ムーア,ジョージエドワード][Moore,George Edward]
1873‐1958。イギリスの哲学者、倫理学者。ロンドン郊外のアパー・ノーウッドに生まれる。ケンブリッジ大学に学び、後に同大学講師、同大学教授(1925‐38)。また、「マインド」誌の編集に携わり(1921‐47)、1903年同誌に「観念論の論駁」を発表、ブラッドリーらのヘーゲル主義を批判していわゆる新実在論の嚆矢となる。さらに同年に『倫理学原理』を出版し20世紀の倫理学界に極めて大きな反響を呼び、1912年の『倫理学』では、功利主義の根拠を批判的に検討して理想主義的功利主義を確立した
深谷昭三[フカタニショウゾウ]
1928年広島県に生まれる。1952年京都大文学部哲学科卒業、1960年同大学大学院修了。1968‐69年ハイデルベルク大学留学。甲南大学文学部教授。1996年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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