出版社内容情報
ネットやSNS、エンターテイメント上に犯罪やテロなどの暴力的映像が氾濫する現代。しかし、悪しきイメージの魅惑が、見る者に現実の暴力や殺人行為への欲望を引き起こさせるという俗説は真実なのか。まなざしとイメージ、芸術作品とプロパガンダとの関係を、受肉・一体化・化身などの概念を通じて分析し、現代世界においてイメージが要請する距離の必要を説く。イメージの哲学者モンザン初の邦訳書。
目次
1 イメージの暴力的な歴史
2 画面上でおこる受肉、一体化、化身
3 戦争のイメージとパフォーマンス
著者等紹介
モンザン,マリ=ジョゼ[モンザン,マリジョゼ] [Mondzain,Marie‐Jos´e]
1942年、アルジェ生まれ。CNRS(フランス国立科学研究センター)名誉研究ディレクター。哲学者
澤田直[サワダナオ]
1959年、東京生まれ。立教大学文学部教授。パリ第1大学博士課程修了(哲学博士)。専攻はフランス語圏文学・現代思想。編著にレヴィ『サルトルの世紀』(共訳、藤原書店、第41回日本翻訳出版文化賞)、フォレスト『さりながら』(白水社、第15回日仏翻訳文学賞)ほか
黒木秀房[クロキヒデフサ]
1984年、東京生まれ。立教大学外国語教育研究センター教育講師。専攻は現代フランス思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本正行
19
いわゆる日本流の哲学書、しかも表現は柔らかい。イメージ、視覚であれ、観念であれ、物事の理解について、様々な解釈。いま私が書いていること自体、この本が表現していることとは、全然、違う。理解できていないのは間違いない。そういう世界もあるのだ、そういうことを理解した。哲学や思想、それなりに好きだ。好きということ、その社会や集団の創り上げている雰囲気すらわかっていないのは自覚できている。読むには読んだ。わかるようになれば、それなりに意味がる。なにをいっているのかな、要は、通り過ぎた。その程度だ。2022/02/26
ジャン
2
イメージは人間にどのように作用して何らかの行動に至らしめるのかを考察する。個人の権力への統合を促す「一体化」や特定の社会でのみ単一の意味作用を有する「化身」はイメージの自由を奪うものとして否定され、人間のまなざしの欲望を喚起しつつ解釈の自由を残存させる非場を形成する「受肉」のイメージが称揚される。イメージの分類学としての試み、あるいは暴力的作用から逃れるイメージの提示という意味での価値はあると思ったが、最初の問いに答えられているのかは正直よく分からなかった。2022/06/04
はむ
0
想像していたより4倍くらいつまらなかった。 (馴染みのない基教由来の)主要概念の意味や関係が終始錯綜しているし、そもそものメインテーマに答えていないという印象のまま終わる。2023/08/22