内容説明
古典主義美学における「吐き気」と「美」のあいだの交錯関係、カントによる「吐き気」の理論的・実践的位置づけ、初期ロマン主義における「腐敗」の詩学、ボードレール、ローゼンクランツ、ニーチェ、フロイト、カフカ、バタイユ、サルトル、クリステヴァまで“反美学”の系譜を明らかにする。
目次
序章 嘔吐と笑いのはざまで―吐き気の哲学の消尽点
第1章 美学理論における吐き気というタブーと吐き気の遍在
第2章 厭わしい部位と吐き気を催させる時間―理想美を湛えた身体の構成
第3章 「強烈な生命感覚」と哲学のオルガノン―カントにおける吐き気の判断
第4章 腐敗のポエジー―「美しき吐き気」と「ロマン主義的なもの」の病理学
第5章 吐き気の「否」とニーチェの認識の「悲劇」
第6章 悪臭を発することの精神分析―フロイトにおけるリビドー、吐き気、文化の発展
第7章 吐き気の天使―“硫黄臭い”快の“無垢なる”享受をめぐるカフカの詩学
第8章 聖なる吐き気(バタイユ)と実存のべとつくマーマレード(サルトル)
第9章 アブジェクトな母(クリステヴァ)、“アブジェクト・アート”、吐き気・現実界・真理の収斂
著者等紹介
メニングハウス,ヴィンフリート[メニングハウス,ヴィンフリート][Menninghaus,Winfried]
1952年生まれ。マールブルク、フランクフルト、ハイデルベルクでドイツ文学、哲学、政治学を学ぶ。現在、ベルリン自由大学一般文芸学・比較文学科ペーター・ソンディ研究所教授。ベンヤミン研究を出発点としながら、文学・美学・哲学など幅広い領域で執筆活動を展開
竹峰義和[タケミネヨシカズ]
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(超域文化科学専攻)博士課程修了。専門は、ドイツ思想史・表象文化論。現在、日本大学法学部助教
知野ゆり[チノユリ]
1971年生まれ。法政大学大学院人文科学研究科(哲学専攻)博士課程単位取得退学。専門は、カント哲学・美学
由比俊行[ユイトシユキ]
1976年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(ドイツ語ドイツ文学専攻)博士課程単位取得退学。専門は、ドイツ近代文学。現在、東京芸術大学音楽学部、立教大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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