内容説明
歴史をかたる―人間のこの営みの一面を示すものとして、偽文書や由緒書は、近年、その史料的価値が見いだされつつある。特に近世から近代にかけて、地域の優位性、淵源や来歴を語るために、多様な偽文書や偽りの史的シンボルが創られていった。それらのなかには、地域に根ざし、偽りの歴史を語り継ぐ装置として、今なお命脈を保つものが多く存在する…。史的シンボルが群立し、「椿井文書」なる偽文書が地域の由緒に大きく関わる北河内地域を中心に、偽文書や由緒書の生成・流布の過程を解明。当該地域における歴史叙述の脈絡を捉え直し、戦国期に寺内町を次々と生み出した地域秩序を明らかにすることで、地域史の再構築をはかり、歴史学と地域社会との対話を模索する。
目次
問題の所在と本書の構成
第1部 由緒の形成過程と偽文書(津田山の山論と三之宮神社文書;城郭由緒の形成と山論―津田城と津田氏の虚像;交野天神社の祭祀構造と樟葉宮伝承地;「交野天縁起」について;茄子作の村落秩序と偽文書;蝦夷の首長アテルイと牧方市)
第2部 椿井文書の創作と展開(椿井文書の基礎的考察;椿井政隆による偽文書創作活動の展開;椿井文書が受容される理由;三浦蘭阪の『五畿内志』批判)
第3部 北河内の寺内町と地域秩序(楠葉郷の石清水八幡宮神人と伝宗寺;石清水八幡宮勢力の展開と招提寺内町;享保期の新田開発と出口寺内町;牧方寺内町の沿革と対外関係;牧・交野一揆の解体と織田権力)
北河内の戦国時代
著者等紹介
馬部隆弘[バベタカヒロ]
1976年生まれ。大阪大谷大学准教授。専門は日本中世史・近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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