内容説明
現実と幻想の境界世界。インド洋世界で活躍したムスリム航海者が蒐集した驚異(アジャーイブ)に満ちた162の説話をアラビア語写本から世界で初めて翻訳。イスラーム海域交流史の第一級の史料。第1巻は82話までと解説を付す。
目次
中国の船着場で見た大船
美しい人魚娘の棲む島
密かにイスラーム教に改宗したカシュミール王
高地カシュミールの大祭と古壺
サランディーブの市場と寺院
インドの売春婦たち
インド・カンヌージュの女
巨大なお化け蟹
船の錨を挟む大蟹
ワークワークの奴隷たちに乗っ取られた船〔ほか〕
著者等紹介
家島彦一[ヤジマヒコイチ]
1939年東京都生。慶應義塾大学修士課程修了。文学博士。東京外国語大学名誉教授。専攻はイスラーム史、東西交渉史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
7
15- バグダードのカリフのもとに運ばれた大蟻!…猫ほどの大きさで、頑丈なサンジュ地方の高地の金鉱で捕らえた。鉱夫が喰われた。運ぶ途中朝と夜に与えた餌は2マン=1.6kgの薄切り肉を与えた。肉食大蟻。インド洋世界で活躍したムスリム航海者が蒐集した、驚異に満ちた162の説話をアラビア語写本から世界で初めて翻訳。イスラーム海域交流史の第一級の史料。第1巻は82話までと解説を付す。2011/11/02
roughfractus02
6
10世紀ペルシアの水先案内人という著者の説話は、一方では巨大な蟹や魚や蛇、空飛ぶ毒蝎、人魚や女人のいる島、巨大な猿や人間と情を交わす猿が登場する奇想天外な冒険譚として読者の想像力を刺激する。が、それらを航海の不透明さを形や量で表した比喩と捉えると、ペルシャ湾からインド洋を経て東南アジアへ広がる航路とその交易での人流と物流、寄港地での商取引に関する異なる制度等が書かれた歴史資料でもあることがわかる。アラビア語写本から翻訳された本書だが、その原語はペルシアやインドと交易する中で編み出された俗語であるという。2022/09/13
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