出版社内容情報
『創世記』では語られていなかった「原罪」が組み立てられた過程を神学者・哲学者の言説から辿り、人間存在を規定してきたその呪縛を解き、「幸福」な「生」とは何かを問い直す。
内容説明
西洋を二千年にわたって呪縛してきた「原罪」の神学を乗り越え、人間の幸福とは何かを新たに問いかける。
目次
第1章 悦楽の園
第2章 自然の罪
第3章 人間はいまだかつて楽園にいたことはなかった
第4章 神の森
第5章 楽園と人間本性
第6章 王国と楽園
著者等紹介
アガンベン,ジョルジョ[アガンベン,ジョルジョ] [Agamben,Giorgio]
1942年生まれ。パリ国際哲学学院、ヴェローナ大学などで教鞭をとった。哲学・美学
岡田温司[オカダアツシ]
1954年生まれ。京都大学名誉教授。京都精華大学大学院特任教授。西洋美術史
多賀健太郎[タガケンタロウ]
1974年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本正行
27
9カ月前に読み終えた図書館本、自分では購入しない、きっと高額だろう。高度な専門書、キリスト教神学あるいは西欧の宗教学、哲学に基本的な理解、高度な関心がないと、初歩的な理解もできない。読み終えたとはいえ、ヨーロッパの歴史に関心がある、好きだという程度の私には、かなり難しい本だっただろうと推測する。はっきり言って、内容を想い出せない。読んだ実感すらない。それでも、なんらかの影響は受けている。2022/01/10
一郎二郎
1
アウグスチヌス系列神学者のでっち上げた原罪の教理。人間は自然と恩寵により作られたが、罪により恩寵から分離されると、罰としての自然と構造的欠陥としての人間本性が残る。地上楽園は空虚な理想、人間の欠陥を示す暗号となる。これは当時の教会組織の利益に合致したものだった。別の理解もあった。例えばダンテにあって罪は初源の自然を傷つけるものではない。地上楽園は政治が目指すべき現世での幸福の暗号である。我々はダンテと共に地上楽園と神の王国とが現在という時間で結びつき得るし、人間本性もその時初めて明らかになると考え得る。 2022/03/06