内容説明
特有の思考スタイルを大胆かつ繊細に分析しながら、政治と言語の両極を綜合的に論じる冒険的な試み。イタリア現代思想への恰好の入門書。
目次
1 潜勢力
2 閾
3 身振り
4 涜聖
5 無為
6 共同体
7 メシア
8 声
9 註釈
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954年生。京都大学大学院博士課程修了。京都大学大学院教授。西洋美術史。著書に、『モランディとその時代』(吉田秀和賞)、『フロイトのイタリア』(読売文学賞)。訳書に、ロンギ『芸術論叢』(全2巻、監訳、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
13
最近注目されているけどアガンベンだけど、その全体像がいまいち把握できなかったのでこの入門書は凄くありがたかった。潜勢力、無為といった9つの概念を元に、独自の政治哲学と存在論を打ち出したこの思想家の哲学を明らかにしているホモ・サケルやアウシュヴィッツの残りのもののイメージで重厚でエモーショナルな思想家かと思ったら、愛の哲学とか結構軽やかなのもあるのね。ベンヤミンとかに近いかも。潜勢力は多義的だが溜め的なニュアンスで感覚的に掴めるか。アガンベン自身の著作が読みたくなるいい入門書2012/02/27
蓼 tade.
5
アガンベンの企図や文脈を、これ以上なく懇切にパラフレーズして啓蒙してくれる作品。非常にためになりました。即ちキアスムとして存在している、そこに誘導するテクスト群なのだなと腑に落ちました。ときどき再読、参照していきたいと思います。岡田温司先生の博覧強記にも驚歎しますし、文中に登場する思想家や著作家を知るということに於いても、とても好著でした。ヴァールブルグ、ヴァッティモ、バンヴェニスト、タウベス、ラクラウなど。蛇足ですが、新版よりも此方の表紙のカッコ良さに惚れますね。2023/01/16
トリスタン
3
アガンベンの多くの著書を訳している岡田温司によるアガンベン論。アガンベンの主要な概念をとりあげながら、さまざまな著作におけるそれらの概念のふるまいを考察する。哲学的な考察ではないが、アガンベンの多くの著作を読み込んでいる著者らしい鋭い洞察が光る。深みはないが、いわは思考のヒントを提示している書物ともいえるだろう。そこからあとは読者の読解の仕事が始められるべきなのだ。2020/05/17
3000
3
今村仁司さんによるベンヤミン、上野修さんによるスピノザの入門書のように生涯読み返し続けるであろう一冊。2012/01/04
T.Y.
2
「潜勢力」「瀆聖」「無為」「声」など、アガンベン哲学の基本概念9つを取り上げて解説する。説明は行き届いており、リファレンスも厳密に付けられている、入門書としては好著。後はアガンベン自身の著作を読んで、それからまた確認していきたいところ。2013/07/22