• ポイントキャンペーン

新音楽の哲学

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582702675
  • NDC分類 760.1
  • Cコード C0010

内容説明

この世界のあらゆる暗闇と罪を、新音楽は自らに引き受けた。新音楽の幸せのすべては、不幸を認識することにあり、新音楽の美のすべては、美の仮象を断念することにある。個人であれ集団であれ、新音楽と関わりをもちたいと思う者はいない。その音楽は、耳に届くことなく、こだますることもなく、やがて消えてゆく。“新音楽”は、破局の時代に対する批判たりうるか。待望の新訳決定版。

目次

序論(題材の選択について;新しい妥協主義;虚偽的音楽意識 ほか)
シェーンベルクと進歩(作品の動揺;素材の傾向;仮象と遊戯に対するシェーンベルクの批判 ほか)
ストラヴィンスキーと復古(真正さ;意図の喪失と犠牲;根源現象としての手回しオルガン ほか)

著者等紹介

アドルノ,テオドール・W.[アドルノ,テオドール・W.][Adorno,Theodor Wiesengrund]
1903‐69。フランクフルト学派を代表するドイツの哲学者、社会学者。フランクフルト大学で哲学博士号(フッサール論)、教授資格(キルケゴール論)を取得。哲学と音楽の両分野に秀で、アルバン・ベルクに作曲を学んだ作曲家でもある。1938年、ナチズムのドイツを逃れてアメリカ合衆国に移住。大衆文化の研究とファシズムを生んだ“権威主義的性格”の研究に携わる。1947年、M.ホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』を出版。1949年帰国後はフランクフルト大学教授となり、ホルクハイマーと共に「社会研究所」を再建、後に所長となる

龍村あや子[タツムラアヤコ]
1951年生まれ。京都市立芸術大学音楽学部教授。専門は音楽美学・社会学、比較文化・比較文明論。東京藝術大学で音楽美学・民族音楽学を専攻した後、ベルリン自由大学で哲学・社会学・音楽学を専攻、ベルリン工科総合大学のC.ダールハウスのもと、アドルノの音楽哲学研究で哲学博士号を取得。現在の主な研究テーマはグローバル化時代の音楽批判論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

13
シェーンベルグとストラヴィンスキーを対照的な作家と置くことで(例えば間にはバルトークがいる)、20世紀前半の「新音楽」の性質を描き出す批評。キーワードとなるのは「認識」だと思う。芸術作品に対する「認識」の有無をめぐってアドルノは批判を投げつけるわけだが、ではその「認識」とは一体何なのか?現状では捉えきれていないが、「音楽とは心で感じるものだ、考えるのは野暮だ」という態度を一貫して退けているのは伝わる。当然ながらナチスとの対決でもあるだろう。近代において音楽と哲学は同時進行だったという意識の強さも特徴的2022/10/25

Yoshi

4
フランクフルト学派のアドルノによるシェーンベルクとストラビンスキーを主に批評した著。 新ウイーン学派の作り出した12音技法の主知主義的な作曲法とストラヴィンスキーの形式的な音楽の対比とそれに基づく時代背景から、興味深い批評だった。 前時代と世紀末の音楽の絶望具合は戦争と戦後という大きなタームを隔てているので、音楽の歴史において何が一体あったのかが把握しづらいのだがその間にある微妙な差異を浮きだたせるような批評だった。 アドルノ自身の”ドイツ的な物”を基にした音楽批評。2021/01/28

riottherunner

4
『ベートーヴェンはわかるがシェーンベルクはわからないという意見は、客観的にみて欺瞞である。』新音楽(現代音楽)は自分たち自身の状況を物語っている故に耐えがたい。つまり分かりすぎてしまう。 音楽の新しい表現と向き合い『十二音技法』を確立しやがて行き詰まっていったシェーンベルクと、『春の祭典』で音楽芸術を太古に戻したストラヴィンスキーの対比を題材に「なぜに人類は真に人間的な状況に踏み入るかわりに、一種の新たな野蛮状態へと落ち込むのか」と問い掛ける。 2010/03/01

mnr

2
バサリバサリと斬っていく様が鮮やか。饒舌で切れ味抜群な辛口批評。2013/09/02

兎乃

2
著者ノート:フランクフルト学派を代表するドイツ哲学者・社会学者。哲学博士号(フッサール論)、教授資格(キルケゴール論)取得。哲学と音楽の両分野に秀で、アルバン・ベルクに作曲を学んだ作曲家。1938年、ナチズムのドイツを逃れてアメリカ合衆国に移住。大衆文化の研究とファシズムを生んだ“権威主義的性格”の研究に携わる。1947年、M.ホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』を出版。1949年帰国後はフランクフルト大学教授となり、ホルクハイマーと共に「社会研究所」を再建、後に所長となる。 2012/04/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/277225
  • ご注意事項