出版社内容情報
大正十一年(1922年)、四代目・秋津染吾郎は京都からはるばる東京へとやって来ていた。目的は、退魔の名跡・南雲家主催のパーティーに参加するため。南雲は秋津と同じく鬼を討つことを生業にしてきた一族だが、大正の世に入りきな臭い動きを見せていた。帝都・東京を舞台に、暗躍する鬼たちと人々の戦いを描く大正編が開幕! 大人気和風ファンタジーシリーズ第八巻。
内容説明
帝都・東京を舞台に、暗躍する鬼たちと人々の戦いを描く大正編が開幕!
著者等紹介
中西モトオ[ナカニシモトオ]
WEBで発表していた小説シリーズ『鬼人幻燈抄』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
71
消えることのない足跡を残し、また一つ時代を渡る。遂に明治から大正へ。時代が変われど絶え間なく続く戦い、大切にした分だけ奪われ続けるかけがえのないモノ。…永劫の哀しみをその心に刻み続ける鬼人・葛野甚夜。彼の宿命的な命運に想いを馳せて今回も例外なく悲しみの予感に胸が苦しくなる。通り雨の如く束の間の平穏だったとしても誰かと共に紫陽花を愛でる幸せ。それが今後人より長く、過酷に生きる甚夜の生きる力になればいい。別れがあれば出会いがあり、一度出会って結んだ縁は時代が移ろうとも続いていき、鬼も人も縁と信念に生きている。2021/11/03
mayu
66
シリーズ8作目。時は流れ、大正に。暗闇は減り、鬼を撃つ術も生まれ、居場所を追われつつある鬼。それでも、鬼は、人の暮らしのすぐ近くに存在した。華族のお嬢様に二代続けて仕える甚夜。犠牲を顧みない残酷な方法で、我が欲を達成しようとする人の企みが怖い。四代目染五郎と再会、まさかの向日葵とも手を組み、戦っていく。守りたいものはあれど、不穏な気配に、悲しい結末を迎える予感がするのが辛い。時代が変わっても同じ花を咲かせる紫陽花のように。変わるための努力だけでなく、変わらないための努力があり、それが時に癒しになると知る。2022/12/15
よこたん
51
“長くを生きたからこそ、変わり往くことの価値を、変わらずにあることの尊さを知った。無知で愚かだった男が様々な出会いに学び、今度は他の誰かを諭すのだから巡り合いとは不思議なものだ。” シリーズ8巻。時は流れ、気がつけば大正に。夜の暗闇も減り、鬼の棲みにくい環境となりつつも、やはり鬼は存在する。すぐ其処に、けろりとした顔で。そして、残忍で容赦なく目的を達するためなら手段を選ばない、鬼の所業の更に上を行く、胸の悪くなるような人間の野望に、虫酸が走る。甚夜は、どう動くのか。もう哀しい予感しかないのだけれど。2021/12/20
はにこ
49
前巻で身も心もボロボロになった甚夜だったが大正の夜では庭師兼執事みたいなお仕事の模様。何やら悪企みする輩と闘う模様。四代目秋津もすでに老境になってるし、向日葵が何故か味方(理由は語られてるけど)になってて時代が流れたのを感じる。闘いの本番はこれからという感じ。4代目は頼むから殺さないでおくれよ。2023/09/16
るぴん
40
図書館本。第8弾。遂に甚夜も洋服に…。明治編のラストから数十年後、熟練の退魔師・四代目秋津染吾郎となった宇津木との共闘が感慨深い。利害の一致でマガツメの娘・向日葵も共闘し、敵を討つ。敵が「コドクノカゴ」を使って何をしようとしていたかが判明した時は、その悍ましさに気持ちが悪くなった。恐ろしい考えに取り憑かれ実行しようとする人間は、既に鬼になっているのかもしれない。マガツメ達とは違う不気味な鬼達も登場し、次回作は染吾郎の孫が出てくるかな?2022/01/12