内容説明
脳損傷事例の分析を通じて脳の高次機能のメカニズムを解明してきた神経心理学は、異なる考え方の対立の歴史を歩んできた。それに加え、近年のfMRIやDTIなどの脳画像技術の進歩により、これまでに蓄積されてきた知見に反する結果も明らかにされ、事態がいっそう混沌としている。本書では、そうした対立点を明らかにしながら、高次脳機能研究の現状について損傷事例を中心に解説する。脳のもつ構造と機能の複雑さ、それに由来する人間の脳研究の奥深さを感じることができる。
目次
1章 神経心理学とは―神経心理学の定義、歴史、方法と現状
2章 対象の知覚・認知の障害―感覚情報の処理と認知
3章 言語の障害―言語の脳内機構研究の問題点
4章 読み書きの障害―書字言語の神経心理学
5章 視空間認知機能の障害―空間知覚と空間行動の神経心理学
6章 動作・行為の障害―単純な動作から社会行動まで
7章 記憶の障害―憶えることと忘れることの神経心理学
8章 半球機能の側性化と半球間離断症候群―左右大脳半球の離断に生じる病態
著者等紹介
河内十郎[カワチジュウロウ]
1968年東京大学大学院人文科学研究科単位取得満期退学。1982年文学博士。1988年東京大学教養学部教授。1999年東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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