出版社内容情報
新たな制度を打ち立てた2~4世紀の政治史
本書は、ハドリアヌスからユリアヌスまで、2~4世紀を年代順に、人事と権力闘争、外敵との戦いを扱った政治史である。
共和政期、帝政前期の政治史については、日本語で読める文献も多く、皇帝の伝記もある程度揃っている。しかし「危機」の時代と呼ばれる3世紀については、ギボン『ローマ帝国衰亡史』を除けばきわめて少ない。本書はそれを補う、碑文学・古銭学を駆使し最新の研究成果を反映した通史であることに加え、著者はこの時代を「衰退」の時代、「滅亡」へと向かう過程ではなく、多くの失敗もあったが数々の改革を試み、内外の危機に見事に対応した勝利の時代として描いている。
帝政前期には、元老院議員たちが帝国のエリートとして統治の担い手となり、新たな事態に悪く言えば場当たり的な対応をしてきた。そこからしだいに安定した、一貫した統治が可能な官僚機構ができ始め、その担い手として騎士身分が興隆することになる。3世紀のさまざまな改革の試みの到達点がコンスタンティヌスの帝国であったという。
「出来事」を追ううちに「構造」が見えてくる1冊。
内容説明
新たな制度を打ち立てた、権力闘争と制度改革の時代。ハドリアヌスからコンスタンティヌス朝までの、衰退と見られてきた時代を、改革を試み内外の危機に対応した、勝利の時代として描く。
目次
ハドリアヌス治世初期
ハドリアヌス治世後半と後継問題
二世紀中葉の平和と戦争
アントニヌス朝の終焉
セプティミウス・セウェルスとライヴァルたち
セウェルスの治世
後期セウェルス朝
ユーラシア史とローマ帝国
ゴルディアヌス三世からウァレリアヌスまで
ウァレリアヌスと将軍たち
最後の軍人皇帝
ディオクレティアヌス、コンスタンティヌスと後期ローマ帝国の創出
四帝統治の崩壊
コンスタンティヌスとリキニウス
コンスタンティヌス時代の帝国の構造
コンスタンティヌスの帝国
コンスタンティヌスの子供たち
コンスタンティヌス、ユリアヌスと帝国の将来
著者等紹介
クリコフスキ,マイケル[クリコフスキ,マイケル] [Kulikowski,Michael]
トロント大学でPhD取得。ペンシルベニア州立大学歴史学・古典教授、教養学部史学科長。古代ローマの特に2~5世紀の政治史・制度史を専門とする
阪本浩[サカモトヒロシ]
青山学院大学文学部史学科教授。東北大学大学院文学研究科博士課程退学。専門は古代ローマ史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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MUNEKAZ