内容説明
滋賀県の東の端にある君ケ畑という集落には、おじいちゃん、おばあちゃんがおおぜい暮らしています。ご近所さんやお医者さん、看護師さん、ヘルパーさんたちがかわるがわる訪問してくれます。それも、これも、おたがいさま。助け、助けられ…。そうやってふるさとで過ごし、やがて看取られていきます。看取りって?大切な人が息を引き取るその「旅立ち」のとき、そばに寄りそい、感謝と別れを交わすことです。ひとり暮らしの89歳、ナミばあちゃんも家族や地域の人たちに囲まれ、あたたかな看取りで旅立ったひとりでした。
著者等紹介
國森康弘[クニモリヤスヒロ]
写真家、ジャーナリスト。1974年生まれ。京都大学経済学研究科修士課程修了、神戸新聞社記者を経てイラク戦争を機に独立。イラク、ソマリア、スーダン、ウガンダ、ブルキナファソ、カンボジアなどの紛争地や経済貧困地域を回り、国内では、戦争体験者や野宿労働者、東日本大震災被災者の取材を重ねてきた。「あたたかで幸せな生死を伝えたい」と、近年では看取り、在宅医療、地域包括ケアの撮影に力を入れ、滋賀・永源寺地域の花戸貴司医師らに同行取材している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinupon
17
「いのちつぐ みとりびと」シリーズの中の一冊です。人が死んでいくという当たり前のことを、この本は見事に描いています。涙が止まりません。2014/03/31
もっちゃか
15
高齢化率が50%以上の小さな集落でひとり暮らしをするナミばあちゃん。引き取られた娘さんの家で夜中に転倒し大怪我。最期は家で・・・という希望を叶え見守る家族や医師や看護師、ヘルパーたち。帰りたいと訴えるナミばあちゃんの表情や、ナミばあちゃんをそっと撫でるひ孫の男の子の表情が堪らなかったです。あとがきを読んでからもう一度読み返すと、作者がナミばあちゃんや家族の想いをちゃんと受けとめた上で作った本なのだと強く感じられました。過疎化や在宅医療、家族介護など、今の日本の高齢者を取り巻く様々な問題について→(続)2013/05/17
遠い日
12
「いのちつぐ「みとりびと」」シリーズ2。住み慣れた故郷の、自分の家で死にたいという気持ちを周りの人々が尊重し、みんなで最期の時を迎える取り組みは、重たいが温かい。みんなが同じ気持ちでナミばあちゃんの死を看取る。看取られる方も、看取る方も、心の準備をじゅうぶんできることがいい。自分の死をしっかりと考え、望みを伝えることはだいじなことなんだなぁと胸に刻みました。 2021/03/09
pocco@灯れ松明の火
12
昨年9月の義父>1年で急激に病気が暴れだして入退院して、9月に看取った。だんだんと身体が思うように動かなく、熱に魘された日々。よく頑張ってくれて有難う、お父さん。と最期に声を掛けたのを思い出す。2014/06/28
ヒラP@ehon.gohon
8
写真におさめた、ナミばあちゃんの死に際は、悲しくもあるけれど、美しくて感動的でした。 天寿を全うするという言葉が、ピッタリ当てはまる見事さでした。 孫や曾孫に看取ってもらえるほど、豊かな人生を送ってきたからでしょうか。 自分の慣れ育った場所で旅立てるからでしょうか。 誰もが通る道だから、せめて美しくありたいと思いました。 何となく、忌み避けられそうなテーマでありながら、心を浄化してくれる、写真絵本でした。2017/08/24